研究領域 | 貧困学の確立:分断を超えて |
研究課題/領域番号 |
22H05103
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
可知 悠子 北里大学, 医学部, 非常勤講師 (10579337)
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研究分担者 |
加藤 承彦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 社会医学研究部, 室長 (10711369)
山岡 祐衣 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, プロジェクト助教 (20726351)
酒井 厚 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (70345693)
藤原 武男 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80510213)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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キーワード | 子どもの貧困 / 健康 / 障害 / 児童虐待 |
研究実績の概要 |
本研究の長期的な目的は、子どもの貧困と健康との関連について、①貧困と子どもの健康をつなぐ「経路」、②子どもの健康問題から派生する不利、③家族の健康問題から派生する不利の三つの観点から分析を行い、知見を集積していくことである。子どもの成長や地域の違いなどを時間・空間の要素を考慮し、立体的にメカニズムを理解することが、効果が高い介入を実施する上で必要である。 子どもの貧困と健康との関連を分析するにあたって、すでに様々な自治体で実施されており、東京都立大学子ども・若者貧困研究センターにて集積および管理されている「子どもの生活実態調査」やデータベース構築班が実施している調査、また政府等統計などのデータを用いる。また、ヤングケアラーなど比較的新しい問題に関しては、既存の調査には詳細な情報が含まれていないため、独自の聞き取り調査を実施し、子どもの貧困との関連を明らかにする。 現在、「子どもの生活実態調査」データを用いて4つの分析が進んでおり、そのうち2つは投稿中である。東京都と広島県のデータを用いた学校生活と子どもの抑うつ状況との関連に関する論文原稿が『厚生の指標』に受理され、掲載待ちとなっている。また、研究分担者の藤原を中心に、東京都足立区や高知県で実施された「子どもの生活実態調査」データの分析を進めている。本年度、班会議を二回実施し、現在進行中の分析の内容について議論した。また、調査担当者より東京都の児童生徒を対象に実施している新しい調査の内容についても説明を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述の通り、「子どもの生活実態調査」のデータを用いて、「子どもや親の状況が子どもの健康にどのような影響を与えているのか?」に関する4つの分析が進んでおり、そのうち2つは投稿中である。また、東京都と広島県のデータを用いた学校生活と子どもの抑うつ状況との関連に関する論文原稿が『厚生の指標』に受理され、掲載待ちとなっている。東京都足立区や高知県の生活実態調査データの分析からも知見が集積されている。公募研究の採択が決まり、採択された課題を担当する研究者何名かも健康班に加わって、より活発に班内外の研究者で議論をしながら子どもや親の健康に関連する研究を進めていく予定である。また、発生頻度が低いため、量的データでは精密な分析が難しい研究課題(ヤングケアラーや虐待など)については、質的調査を実施し、詳細な情報を集めることを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、様々な自治体の「子どもの生活実態調査」データの分析を主に行う。現時点で、母親の幼少期の逆境体験の影響が子どものメンタルヘルスに与える影響などに関する分析が進行しており、二編が投稿中である。これらの学術誌への掲載を目指す。また、現在実施中の調査のデータや申請予定の21世紀出生児縦断調査などの政府統計データなども活用し、新しい研究課題を設定し、データ分析と論文執筆を行う。 本年度、健康班の定期ミーティングを約2か月に1回の頻度で開催しており、今年度も同様の頻度で実施する。定期ミーティングで活発に議論を行うことで、研究の質を高める。また、外部講師を招き、健康班内では足りていない専門知識を補う。 ヤングケアラーへの聞き取り調査の実施を予定している。研究計画の立案、倫理審査の受審、対象者の選定とリクルート、聞き取り調査の実施などを進めていく予定である。聞き取り調査の実施にあたって、ヤングケアラーの専門家や聞き取り調査の専門家からの助言を受ける。 健康班の研究活動で得られた知見は、積極的に他班と情報共有し、社会に還元されるよう努める。
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