研究領域 | 光の螺旋性が拓くキラル物質科学の変革 |
研究課題/領域番号 |
22H05133
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設) |
研究代表者 |
江原 正博 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 計算科学研究センター, 教授 (80260149)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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キーワード | キラル光物性 / 量子逆設計理論 / 局在表面プラズモン / 分子集合系 / キラル機能化・秩序化 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,超螺旋光と物質の相互作用を理解し,分子から生体組織まで様々な空間スケールの物質の螺旋光物性(キラル光物性)やキラル機能化・秩序化の理論解析・設計を行うことを目的とする。令和4年度は,下記の研究を実施し,研究発表で示す研究成果を得た。 (1)本研究課題で中核となる量子逆設計理論を開発し,プログラム・システムを実装した。分子―金属ナノ粒子系のキラル光物性について,時間依存シュレーディンガー方程式に基づく量子逆設計理論を定式化し,モデル系に適用した。励起状態の占有率を目的関数とし,光子場,吸着分子,金属ナノ構造体の形状・元素組成,分子-金属ナノ構造体の間の距離・相対配向に関する最適化を行った。入射電場の最適化には量子最適化制御理論を採用した。また,大規模な機能空間に適用できるように最適化アルゴリズムの高速化を行った。 (2)強い円偏光発光を示す分子集合系・複合系の理論設計を実施した。励起子結合法を量子逆設計理論と結合することにより,分子集合系の円二色性・円偏光発光に関する研究を進展させた。構成ユニットが強い旋光強度をもつ分子を集合させ,ユニット間の電気遷移双極子能率および磁気遷移双極子能率を最適に配列させる集合系・複合系の設計を試みた。 (3)逆設計理論に基づいて領域内共同研究を実施する準備を開始した。マルチ空間スケールの方法の検討を行った。逆設計理論をマクロな系に適用し,高効率な円偏光発光デバイスを設計・開発を実施するための議論を開始した。超キラル光による生体物質や生体組織系の構造化・機能化についても議論を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で当初計画していた量子逆設計理論の研究を開始することができ,さらに基礎となる理論・方法の構築,プログラムの実装をすることができた。一方,超キラル光と物質の相互作用を記述する方法について,考察を深める必要がある。 (1)量子逆設計理論の開発および分子―金属ナノ粒子系への応用研究が進展し,論文発表することができた。現在,超キラル光と物質の相互作用を適切に記述する方法を検討中である。 (2)一次元の分子集合系の光吸収および円二色性を極大にする方法について結果を得た。今後,構成ユニットが強い旋光強度を持つ分子を具体的に検討し,その分子集合系について評価を行う。 (3)マルチ空間スケールの方法の検討を開始した。 以上のとおり,各研究項目についておおむね順調に進展しており,研究発表も順調に行っている。以上から,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では,超キラル光と物質の相互作用が本質的に重要である。これまでに時間依存シュレーディンガー方程式に基づく量子逆設計理論を定式化し,分子―ナノ粒子系に適用することに成功した。光子場の最適化には量子最適化制御理論を用いた。(1)一方,超キラル光と物質の相互作用の記述については,十分に検討できていない。双極子近似を超えた定式化をする必要がある。現在,超キラル光を照射した場合の時間依存の電場を解く方法を検討しているが,具体的に,汎用プログラムを用いた計算を開始する。(2)構成ユニットが強い旋光強度を持つ分子を具体的に検討し,分子集合系に対して量子逆設計理論を適用する。(3)ギャッププラズモンについてどのような形状にした場合に,超キラル光の効果が増大するか,検討を進める。
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