研究領域 | 行動変容を創発する脳ダイナミクスの解読と操作が拓く多元生物学 |
研究課題/領域番号 |
22H05161
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
喜多村 和郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60423159)
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研究分担者 |
山崎 匡 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (40392162)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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キーワード | 神経科学 / 小脳 / 大脳 / 運動制御 / イメージング |
研究実績の概要 |
(1)マウス行動変容課題中の多次元行動解析:誤差にもとづく小脳依存的学習を調べる課題として、マウスの水飲み行動の適応を調べる課題を確立した。マウスが音に反応してノズルを舐めると報酬として水を与えるという単純なオペラント課題を実行中に、ノズルの位置や呈示するタイミングを変えたり、報酬を与えなかったりすることで、感覚予測誤差や報酬予測誤差を誘発する。この課題を行っているマウスの顔面の運動をビデオで撮影し、深層学習モデル(DeepLabCut)を用いて解析した。その結果、マウスはこれらの変化に素早く適応し、予測的な舐め行動を変化させることがわかった。 (2)マウス行動変容課題中の大脳―小脳連関の解明:マクロ顕微鏡によって課題実行中の小脳あるいは大脳の広範囲の活動をでイメージングした。このために、食品ラップを用いた大きな観察用窓を作製する新たな方法を開発した。また脳の広範囲にカルシウムセンサーを発現する方法を確立した。開発した方法を用いて、運動課題実行中の大脳および小脳の広範囲で神経活動やグリア活動を高いS/N比で観察できることを確認した。 (3)行動変容課題中の神経情報表現の2光子イメージングによる解析:(1)で確立した行動課題を実行中のマウス小脳において、登上線維活動を2光子カルシウムイメージングで観察し、様々な誤差に対応すると思われる活動を同定しつつある。 (4)マウス行動変容の大規模脳身体シミュレーション:マウス行動変容を再現・予測するための脳身体シミュレーションプラットフォームの構築を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス行動変容の多次元行動解析について、舐め行動中の顔面運動の解析方法は確立できた。課題実行中のマクロイメージングについてその方法を確立し、大脳及び小脳の広範囲にわたる神経活動とマウス行動の同時記録を可能にした。行動変容課題中の2光子カルシウムイメージングをすすめ、行動適応に必要な様々な予測誤差に対応すると思われる活動を同定しつつある。行動変容の大規模脳ー身体シミュレーションを行うためのプラットフォーム構築を計画通りに進めている。
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今後の研究の推進方策 |
マウス行動変容・行動適応の多次元行動解析と小脳あるいは大脳の神経活動2光子イメージング解析を進める。行動変容中の広域イメージング解析を進め、行動変容にかかわる脳の広域ネットワークの同定を進める。大規模脳ー身体シミュレーションプラットフォームを用いてマウス行動変容のシミュレーションを進める。
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