研究領域 | 生体防御における自己認識の「功」と「罪」 |
研究課題/領域番号 |
22H05183
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山崎 晶 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40312946)
|
研究分担者 |
井貫 晋輔 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (70736272)
長江 雅倫 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (60619873)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
|
キーワード | C型レクチン受容体 / Dectin-1 |
研究実績の概要 |
C型レクチン受容体(CLR)は、病原体や自己の構成要素に存在する糖鎖を認識し、免疫応答を引き起こす。Dectin-1は病原体上のbeta-glucanを認識する最も特徴的なCLRであるが、Dectin-1の内因性リガンド(自己認識)は十分に理解されていない。本研究では、ヒトのDectin-1が、血小板上に発現するCLEC-2のリガンドであることを見出した。生化学的解析の結果、Dectin-1はストーク領域が高度にO-グリコシル化されており、ムチン様タンパク質であることがわかった。さらに、ヒトDectin-1のEDxxTモチーフに結合したシアリル化コア1糖鎖がCLEC-2のリガンド部位となることが判明した。ヒトDectin-1をマウスに発現させると、CLEC-2のリガンドとして知られるPodoplaninの欠損に起因するリンパ管形成不全と致死性表現系が解消された。この発見は、自然免疫受容体が生理的なリガンドとして機能し、糖鎖修飾によって生体恒常性を制御する初めての例である。このように、本研究では、C型レクチンファミリーDectin-1が、O型糖鎖修飾を受け、同じC型レクチンファミリーに属するCLEC-2と会合し、器官形成に寄与することを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫受容体が認識する自己標的を同定し、論文として発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、自然免疫受容体、自然免疫型T細胞が認識する自己分子の同定を戦略的に行う。
|