研究領域 | 光の極限性能を生かすフォトニックコンピューティングの創成 |
研究課題/領域番号 |
22H05195
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
内田 淳史 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (50327996)
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研究分担者 |
菅野 円隆 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10734890)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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キーワード | フォトニックコンピューティング / リザーバーコンピューティング / 応用光学・量子光工学 / 機械学習 / 超高速情報処理 |
研究実績の概要 |
近年の機械学習や人工知能の発展により、高機能な情報処理技術の必要性が急速に高まっている。従来の電子技術に基づくコンピュータでの情報処理では、機械学習の新たなニーズに対して計算速度が追い付かない点や消費電力が膨大な点など、多くの根本的課題が顕著になりつつある。このように、光の特長を活かした高速・低消費電力の新たな人工知能ハードウェアの開発が急務である。そこで本研究計画では、光リザーバーコンピューティングを中心とした新たなフォトニックコンピューティングの革新的技術の創成を目指す。特に複雑系フォトニクスと呼ばれる学際分野の解析ツールを駆使して、光リザーバーコンピューティングの最適設計指針の解明を行う。また大規模な多腕バンディッド問題を解決するために、光強化学習と光意思決定の並列ハードウェア実装を目指す。加えて物理深層学習のハードウェア実装による新たなフォトニックコンピューティング技術の確立を目標とする。 本年度の研究成果として、半導体レーザを用いた光リザーバーコンピューティングのハードウェア実装を行った。戻り光を有する半導体レーザや電気光変調器を有する電気光遅延システムを用いて、リザーバーコンピューティングを実験的に実装し、情報処理タスクに対する性能比較について調査した。また、マルチモード半導体レーザを用いた光強化学習と光意思決定を行った。マルチモード半導体レーザのモード競合ダイナミクスを利用して、多腕バンディッド問題における解探索の大幅な効率化と高速な意思決定に成功した。加えて、最適制御理論に基づく物理深層学習のハードウェア実装を行った。電気光遅延システムを用いて物理深層学習のハードウェア実装を行い、時系列予測や音声認識を実験的に達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は当初の計画通りに進展している。本年度の研究において、半導体レーザを用いた光リザーバーコンピューティングのハードウェア実装を行った。また、マルチモード半導体レーザを用いた光強化学習と光意思決定を達成した。さらに、最適制御理論に基づく物理深層学習のハードウェア実装実験に成功した。このように多くの研究成果が得られており、順調に研究課題が遂行されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究活動としては、フォトニックコンピューティングのさらなる性能向上に関する研究開発を行う予定である。具体的には、複数の半導体レーザを組み合わせた光リザーバーコンピューティングの実装を行う。また、空間光変調器を用いた時空間ダイナミクスに基づく光強化学習と光意思決定を達成する。さらには、物理深層学習のハードウェア実装の最適化と性能向上を行う予定である。
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