研究領域 | マクロ沿岸海洋学:陸域から外洋におよぶ物質動態の統合的シミュレーション |
研究課題/領域番号 |
22H05201
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 幸彦 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (80345058)
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研究分担者 |
長谷川 大介 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(塩釜), 主任研究員 (10624728)
坂本 圭 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 主任研究官 (60589860)
堤 英輔 東京大学, 大気海洋研究所, 特任助教 (70635846)
増永 英治 茨城大学, 地球・地域環境共創機構, 講師 (90779696)
西川 悠 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(地球情報科学技術センター), 研究員 (10625396)
増田 貴子 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(塩釜), 主任研究員 (60893831)
田中 雄大 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(塩釜), 研究員 (10750391)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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キーワード | 海水交換 / 物質循環 / 大陸棚 / 陸起源物質 |
研究実績の概要 |
本研究計画班では、沿岸海域の生産性に関わる沿岸と外洋間の物質交換過程を解明し、日本全域における物質フラックスを定量化することを事業全体における目的としている。また、この目的達成のための具体的方法として、4つのアプローチ (i) 沿岸系水塊の空間分布と拡散過程の観測、(ii)大陸棚上の鉛直混合と物質輸送過程の観測、(iii) 沿岸域における海水の流動・栄養塩分布と生態系動態、(iv)数値モデリングによる淡水・物質フラックス推定、を設定している。2022年度は、これらに関連して以下の成果・進展が得られた。 主観測フィールドとしている三陸沿岸および利根川影響海域において、既取得の観測データの解析を行い、それぞれ三陸沿岸の前線構造とその季節変動、霞ヶ浦北浦における海陸風による鉛直混合の励起過程を成果として取りまとめた。また、三陸沿岸(新青丸KS-22-11)、房総・常磐沖陸棚域(新青丸KS-23-2)、常磐沖海底斜面域(若鷹丸WK2207)での観測を実施し、海水の攪拌と鉛直混合に関するデータを取得した。若鷹丸航海と連携して実施している水中グライダーについては、ADCPを用いたフライトモデル較正法を成果としてまとめた。三陸沿岸の観測データの解析は高解像度海洋循環モデリングと組み合わせて行った結果、三陸沿岸では海流と地形の相互作用により外洋由来の栄養塩が生物生産に寄与している可能性が示唆されている。生態系過程については、植物プランクトンの栄養塩利用を細胞レベルで識別するための培養実験と質量分析計解析手法を検証したほか、沼津および美国定置網付近に設置した魚探ブイの解析を開始した。数値モデリングについては、気象研究所の日本近海 2km メッシュモデルの解析を進め、日本沿岸の水塊滞留時間の定量化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年6月の採択通知後、事業計画に従い速やかに活動を開始することができた。事業開始までの準備を活かし既取得のデータの解析により論文等を通して成果を公表したほか、調査船調査・水中グライダー・栄養塩取り込み解析のための手法検証・魚探ブイの稼働を開始することができた。また、事業全体を通して展開する観測機材・数値実験の調達・性能検証を適切に実施し、次年度以降の研究活動の加速が期待される。以上のことから、順調に進捗していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
事業計画に従って、観測・数値モデリングおよび培養実験・分析を推進する。また、他の研究計画班および総括班に加え、2023年度より採択となった関連公募班2班との連携を強化する。
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