研究領域 | 法と人間科学 |
研究課題/領域番号 |
23101004
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
久保山 力也 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 講師 (00409723)
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研究分担者 |
井門 正美 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (60312691)
藤本 亮 静岡大学, 法務研究科, 教授 (80300474)
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研究期間 (年度) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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キーワード | 新領域法学 / 法教育 / 法社会学 / 民刑事法学 / ゲーミング / 社会科教育 / ADR / 法律相談 |
研究概要 |
以下の通り研究実績の概要を報告する。 1)教材開発部門 本研究ではゲーミング法教育教材の作成を目標の1つにしているところ、本年においては刑事系ゲーミング法教育教材として裁判員裁判ゲーム(アンドロイド版)を開発した。これは、携帯電話やデジタルパッド上で動き、ゲームをしながら裁判員裁判を学習できるというものである。次に、民事系ゲーミング法教育教材としてADRゲーム(Light版)を開発した。これは、多数のカードを含むボードゲームであり、ゲームをしながら紛争ならびに紛争解決のエッセンスを理解することができるものとなっている。前者(裁判員裁判ゲーム)については開発が年度末になったため実践は次年度としたが、後者(ADRゲーム)については2度の実践を行った。1つは2014年1月24日に兵庫県西宮市立上ヶ原南小学校の6年生を対象にして行った。またもう1つは2014年3月30日に福岡県田川市市民会館で行ったものである。その他、法律相談ゲームなどの開発に着手できた。 2)調査研究部門 本研究はまたゲーミング法教育教材の可能性に関する調査研究を目標の1つにしているところ、本年においては韓国での調査研究を深化させることができた。 3)成果公開部門 成果公開についても研究の性質上、大変重要であると考えている。上記実践自体が成果公開の1つであると考えるが、他方、法と教育学会(2013年9月)において分担者井門正美氏とともに「ゲーミング・シミュレーション教材「いじめ模擬民事裁判―いじめPTSD事件―」の開発と実践」と題する共同報告を行ったほか、ウズベキスタン・タシケント市で開催された国際会議(2013年11月)にて“How is the way to re-formalize and combine of society by Law-related Education?”と題する講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下、上記理由について簡単に述べる。 1)教材開発部門 25年度までに、裁判員裁判ゲーム、ADRゲームを開発することができた。もっともこれらのゲームについては使用の便を考慮しさらにヴァージョンをかえたり、形態をかえたりさせることも考慮しているが、一旦完成させ実践もできている点は評価できると思う。すでに新聞においても掲載されたが、この部門を新しく構築しつつある点も評価に値すると考える。他方、法律相談ゲームなどの開発には着手しているが完成にいたってないことを考慮し、「おおむね順調」と判断した。 2)調査研究部門 25年度までに、アメリカ、韓国、中国を調査することができたが、他地域の調査にまでは手が及んでいない。韓国には特に力点を置いて調査をし学会報告などは行えている点は評価できると考える。他方、論文等の文字媒体での報告は途上にあることから、同様に「おおむね順調」と判断した。 3)成果公開部門 25年度までに上記ゲームの開発をはじめ数個のゲームを開発できた点は大きく評価できる。他方、その性質上構想以降多くの時間がかかりやっと実践に着手した段階にあることから、web等を用いた公開には至っていない。そこで同様に「おおむね順調」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策について、次の通り簡単に述べる。 1)教材開発部門 裁判員裁判ゲームについては、コンテンツの増加やヴァージョンアップもはかりながら早急に実践に付し、公開を行う。ADRゲームについては、ボードゲームとしてはヴァージョンをさまざま作成しつつ継続して実践を行い、これも公開する。また同ゲームについてはデジタル化を行う。法律相談ゲームについては26年度中の完成をはかっていきたい。その他、ゲームの開発を積極的に行う予定である。 2)調査研究部門 引き続き韓国については調査を継続するも、中国や台湾、また他地域への調査を行う予定である。 3)成果公開部門 まずゲームの実践を広げていきたい。学校や市民向けだけではなく、法専門家の研修なども積極的に行っていきたい。次にホームページなどにおいて広く公開につとめたい。さらに、26年度にはゲーミング法教育の著作の制作に本格的に着手したいと考えている。コンテンツとしてゲーミング法教育の理論、海外の状況、ゲーム自体の収録を予定している。そして学会報告についても継続的に行っていきたい。法と教育学会、全国社会科教育学会など教育系学会以外にも法学会や他領域の学会でも進んで報告を行う予定である。 4)その他 本研究課題は新学術領域であるので、特に他計画研究班と連携を強めながら、研究を行っていきたいと考えている。
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