研究領域 | 法と人間科学 |
研究課題/領域番号 |
23101005
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
高木 光太郎 青山学院大学, 社会情報学部, 教授 (30272488)
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研究分担者 |
脇中 洋 大谷大学, 文学部, 教授 (10319478)
森 直久 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (30305883)
大橋 靖史 淑徳大学, 社会学部, 教授 (70233244)
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キーワード | 虚偽自白 / 被疑者面接 / 取り調べ / 法心理学 |
研究概要 |
平成23年度は(1)複数の自白事例(取り調べ事例)を収集し、そこにみられる取り調べコミュニケーションの問題点を抽出する作業、(2)サセックス警察(イギリス)における取り調べ実務とトレーニングに関する聞き取り調査。および(3)ハワイ州警察(アメリカ)における取り調べ実務の聞き取り調査を実施した。(1)については足利事件における検察官取り調べの録音テープ反訳等、研究代表者および研究分担者が過去に鑑定等で関与した事件からのデータおよび今回新たに入手した取り調べ記録データの検討を行った。新データの収集においては取り調べの問題点が表面化しやすいことから知的障害者を対象とした取り調べの記録を主に収集した。その結果、質問話法や構造化など基本的な取り調べ技術の不十分さ、犯罪の構成要件の構造を過度に反映した質問項目の設定による混乱、犯行意図にかかわる質問への応答の困難、被疑者の供述特性に応じた対応の不十分さ、といった問題が生じていることが明らかになった。(2)については、被疑者取り調べについて先端的な取り組みを行っているイギリスの取り調べ技術(PEACE)の具体的内容とそれを用いた実際の取り調べの状況、取り調べ担当者のトレーニングシステム、取り調べをめぐる制度改革の経緯と現状について有用な情報を得ることができた。(3)についても、イギリスとは異なる取り調べ技術(Reidテクニック)が使用されているアメリカにおける取り調べ実務の問題点について情報を得ることができた。(2)(3)で得られた情報を(1)における日本の取り調べ実務の問題点と対照することによって、来年度以降、日本の捜査実務において有効に機能する取り調べ技法を開発していくための検討事項が複数が得られるものと期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度は当初予算の配分に遅れがあったため年度計画のうち被疑者・取り調べ経験者へのインタビュー調査を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は前年度に実施できなかったインタビュー調査を早急に実施し、研究計画の遅れを取り戻すことから研究活動をスタートさせる。これに平行してPEACE、Reidテクニックにおける自白圧力の検討、日本の取り調べにおける自白圧力の構造の検討を進め、年度末までに虚偽自白の危険因子を排除した日本の捜査実務に適合的な自白圧力モデルの構築を行う。
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