研究領域 | 法と人間科学 |
研究課題/領域番号 |
23101008
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
伊東 裕司 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (70151545)
|
キーワード | 裁判員 / 事実認定 / 判断バイアス / 模擬裁判員実験 |
研究概要 |
本研究においては、初年度の計画として【1】文献研究、裁判関係者、法律学者に対するヒアリング、一般市民に対する質問紙調査を通して、裁判員の判断に影響を与えると考えられる要因の洗い出しを行い、模擬裁判員実験の実験計画の決定などを行いつつ、これと並行して【2】前述の実験とは別の模擬裁判員実験を行う計画であった。【1】に関しては、裁判員制度について興味を持ち、ある程度の知識を有している一般の市民に対し、インターネットを利用した質問紙調査を行い、どのようなことが裁判員の適切な判断を妨げ、判断を歪めると考えられるかについての意見を集めた。212名分のデータを収集したが、主な質問項目は文章による記述回答であり、現在分析中である。分析結果が出るまでにはもう少し時間がかかりそうであるが、感情に流されることと、事件に関するマスメディアによる報道が裁判員の判断を歪める、と考えている回答者がかなりの割合存在するようである。 【2】に関しては、実験材料となる模擬裁判ビデオの作成に時間がかかってしまい、実際にデータを集めるまでにはいたらなかった。模擬裁判ビデオについては、殺人事件において、被告側が正当防衛を主張し、それが認められるかが争点となっている事案を、現実の事件をベースに手を加えて作成した。基本となるバージョンと、細かい条件を調整するための証人尋問の部分などを完成し、予備実験を行い、なるべく有罪/無罪の判断が分かれるような材料を作成する準備が完了した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
模擬裁判実験の主要な材料となる模擬裁判ビデオの題材の選定に予想外の時間がかかり、それに伴い材料の作成が遅くなったため。また、専門家に対するヒアリングのスケジューリングもうまくいかなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
前述のように、計画よりやや遅れはあるが、基本的には計画に従って研究を続ける。基本的な実験材料が完成したため、今後は模擬裁判実験を行いやすくなった。また、実験参加者のリクルート方法についても、目途がついた。
|