研究領域 | 法と人間科学 |
研究課題/領域番号 |
23101009
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
指宿 信 成城大学, 法学部, 教授 (70211753)
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研究分担者 |
稲田 隆司 熊本大学, 法学部, 教授 (30284730)
中島 宏 鹿児島大学, 司法政策研究科, 教授 (00318685)
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キーワード | 被疑者 / 被害者 / 参考人 / 取調べ / 可視化 / 裁判員 |
研究概要 |
1 ヒアリング調査等の実施:取調べ録画に伴う様々な具体的問題を把握するために、実際に被疑者取調べにおいて録音録画が実施されたケースを担当した弁護士からヒアリングを実施した。また、検察庁において知的障害者等の取調べが可視化されたことに伴い、取調べに協力を開始した心理学者へのヒアリングもおこない、日本に固有の尋問特性やその改革の方向について意見を収集した。 2 取調録画制度の方向性の検討:研究調査を実施すると同時に、望ましい「可視化」制度について検討をおこなった。特に、録音録画媒体を「実質証拠」として利用することの是非について集中的に議論を深めた。 3 研究成果の公表ならびに社会還元:それぞれの分担部分に関わり、出版や専門雑誌等において論文公刊等によって研究成果を公表、還元した。また、代表者である指宿が、可視化法案の立法化の準備のため、参議院事務局法務委員会の委嘱により客員調査員として調査研究活動に関与し、社会還元をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒアリング調査は順調に進めていて、弁護や公判への影響について予測可能性も高まってきた。先行研究を通して海外での調査研究資料も収集しており、比較法的知見の獲得は順調で、研究資料の集積は一定程度の進展があった。 もっとも、メンバーの勤務地がばらばらであることから研究チーム内での議論の機会が限られており、研究成果を深化させ相互に高め合うというレベルにまでは至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
被疑者取調べの可視化制度については、法制審議会において「身体拘束の被疑者」「裁判員裁判対象事件」という原案が示されているが、その他の具体的な制度設計についてはまだ白紙状態である。本研究チームにおいて何らかの提言を実現できるよう議論を深め社会還元に至るよう努める。 参考人取調べについては、未だ学問的にも十分な先行研究が日本には存在しないため、司法取引などの研究などとリンクさせて深めていきたい。 被害者等の取調べについては、近時、心理学の分野では尋問技法のモデル化が進められており、そうした学際的な知見を手がかりに、積極的に他分野の研究者と交流を図りながら調査を進めたい。
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