研究領域 | 法と人間科学 |
研究課題/領域番号 |
23101009
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
指宿 信 成城大学, 法学部, 教授 (70211753)
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研究分担者 |
中島 宏 鹿児島大学, 司法政策研究科, 教授 (00318685)
稲田 隆司 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (30284730)
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研究期間 (年度) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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キーワード | 取調べ / 被疑者 / 可視化 / 参考人 / 目撃者 |
研究概要 |
二年目となる平成24年度は、主として被疑者取調べの「高度化」をめぐる研究を中心として進めた。 警察庁検察庁における被疑者取調べの録画の導入とその運用実態に関する統計ならびにアンケートを手がかりとして国内における動向を調査分析した。 同時に、心理学の専門チームと共に、現在わが国で導入されている録画システムに関する問題点を把握するため、同一の効果を持つよう再現実験をおこない、視聴する人間にいかなるバイアスが生じるかを実験し、録音録画の導入が刑事司法過程に与える影響を経験的に明らかにすることに成功した。 すなわち、具体的には以下のような実験結果からの具体的示唆が得られた。第一に、映像に関する「錯覚原因(illusory causation)」 と呼ばれる影響が自白録画の場合にも現れていて、有益さとはかけ離れた危険性を有していること、第二に、錯覚原因とは映像を観る者に無意識のうちに与えられる偏向(bias)を指すが、それがとりわけ観察対象者(被疑者)だけをクローズアップした撮影方法(被疑者フォーカス(suspect-focus)方式)において最も顕著に現れること、第三に、こうした危険を完全に回避する手段はなく、危険性を減少させる方法として、取調官だけを撮影する(detective-focus)方式か取調官と被疑者の双方を撮影する方法(両者フォーカス(equal-focus)方式)が望ましいということ、である。 こうした具体的結果を基に、被疑者取調べについて法的規律のみならず、撮影方法(アングル、距離、明るさ、カメラ台数、音響等々)についても制度設計段階から統制しておく必要があることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被疑者の取調べ問題については概ね順調に進行しているものの、被害者ならびに参考人(目撃者含む)についての調査研究に遅れがある。
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今後の研究の推進方策 |
被疑者取調べについては引き続き心理学チームと共同研究を進めると共に、被害者ならびに参考人に関する取調・聴取・面通し手続の録画制度について調査研究を強化する。
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