計画研究
本計画研究では研究代表者らが独自に有する正常腸管上皮培養法を生物学的活性評価系へと展開し、これを通じて正常腸管上皮の分化・増殖・特異的機能について制御活性を有する新規天然物リガンドを探索する系の構築を目指した。本研究により、以下の成果を得た。1)腸上皮幹細胞やその娘細胞を可視化する技術:レンチウィルスを用いた幹細胞標識法や遺伝子改変マウスを利用した特定の娘細胞系譜の可視化に関する技術を確立した。2)腸管特異的機能に関する生物学的活性を簡便かつ定量的に測定可能な評価系の構築:P-glycoproteinの基質輸送を可視化・定量する系の構築のみならず、ヒト腸上皮オルガノイドにおける 「Swelling (膨張)」現象を利用し、腸上皮が有するもう一つの機能である体液調節機能(水・電解質調節機能)についても定量的な測定系を確立した。同測定系を用いることにより、複数の候補リガンドから強力な水・Cl排泄促進活性を有するリガンドを同定することにも成功している。3) 腸管上皮幹細胞の増殖・分化を制御する天然物リガンドのスクリーニング系の確立:腸管上皮幹細胞の分化・増殖を制御する主要な分子シグナル系であるNotch受容体経路に着目し、同経路の活性測定系を構築するため、A02班の石橋教授との共同研究を実施した。同研究において、テトラサイクリン依存的に活性型Notch受容体を強制発現するヒト大腸上皮由来培養細胞に、RBP-Jk依存的転写活性を高感度に検出可能なレポーターコンストラクトを恒常的に導入した細胞系の構築に成功した。また、本研究期間中に23症例(累計36系統)のヒト腸上皮由来オルガノイド株の樹立・保存に成功していおり、これら保存細胞株は既に樹立済みの評価系に容易に用いる事ができることから、個体間の特性を考慮した探索を可能とする活性評価プラットフォームを構築できたものと考えている。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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