研究領域 | 天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 |
研究課題/領域番号 |
23102004
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
渡辺 肇 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80212322)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | DNAマイクロアレイ / エストロゲン |
研究実績の概要 |
自然界から同定される生理活性化合物は生体内で様々な生理的機能を有しており、その多様な作用から医薬、農薬等における利用が期待されている。しかしこれらの多くは生体内での標的分子や作用機構については十分な理解がされないまま残されてきている。しかしこれらの生理活性化合物をもとに高機能な化合物を開発するには、標的分子および作用機構の理解が不可欠である。そこで本研究の目的は、ゲノミクスを中心とするオミクス技術を用いることにより、生理活性化合物の生物学的な評価を行うとともに作用機構の解明を目指すこととした。 生理活性化合物のin vivoにおける評価を行うために、エストロゲンをモデル生理活性化合物としてマウスに投与を行い、指標とする組織における影響についてDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現変化の解析から評価した。特に継時的な変化を解析することにより、一連の遺伝子発現変化の誘起に重要な働きを担っている因子について明らかにした。単に生理活性化合物の直接的な標的分子を明らかにするだけでなく、その後に発現が誘起される一連の遺伝子について解析・評価することで、生理活性化合物の全体的な評価を可能にした。 さらに生理活性化合物の長期的な影響を評価するためのモデルとして、幼若期にエストロゲンの投与を行い、成熟期に至るまでの影響について解析した。その結果、成熟期においてもエストロゲンの受容体が活性化されている可能性を見出した。本来はリガンドの存在下のみで活性化されるはずの受容体が、リガンド非存在下でも活性化されている可能性を示しており現在、詳細な検討を進めている。これは、生理活性化合物の効果を生物のライフサイクルを通じて総合的に評価するための重要な指針となると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究室の移転に伴い、昨年度はゲノミクス解析や生理活性化合物の曝露システムの再セットアップなどにやや時間がかかったものの、今年度は特に問題なく進んでいる。今年度に得られた2つの成果、すなわち転写カスケードの解析からの生理活性化合物評価法、およびモデル生理活性化合物を用いた長期的影響評価法については、翌年度中に国際誌に発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き前年度からの研究を継続すると同時に、当初の計画通りに提供を受けた化学物質についてゲノミクス解析により遺伝子発現プロファイル変化を明らかにし、アフィニティービーズなどで同定された生体標的分子との整合性について検討を加える。また領域として着目している生理活性化合物のいくつかは細胞増殖に影響を与えることから、全体的な毒性影響の観点からもアプローチを行う。
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