計画研究
自然界から同定される生理活性化合物は生体内で様々な生理的機能を有しており、その多様な作用から医薬、農薬等における利用が期待されている。しかしこれらの多くは生体内での標的分子や作用機構については十分な理解がされないまま残されてきている。これらの生理活性化合物をもとに高機能な化合物を開発するには、標的分子および作用機構の理解が不可欠である。そこで本研究では、ゲノミクスを中心としたオミクス技術を活用することにより、生理活性化合物の生物学的な評価を行うとともに作用機構の解明を目指すこととした。このために2種のモデル生物を利用した。1つはマウスであり、生理活性化合物の長期的な影響を評価した。人工エストロゲンとして知られるジエチルスチルベストロールをモデル生理活性化合物として選択し新生仔期のマウスに投与を行い、成熟期に生じた影響を解析した。組織化学的な解析に加え遺伝子発現変化の解析を行うことにより、エストロゲン様活性の総合的な評価を行った。これにより生理活性化合物の長期的な影響について評価できる可能性を示した。また一方で、より簡便な生物としてミジンコを生理活性化合物の評価系として導入する試みを行った。ヒトやマウスにおいても共通に保存されている遺伝子も多いことから、ゲノミクス的アプローチによって、より簡便な評価系を構築できる可能性が示された。
2: おおむね順調に進展している
今年度は学内での研究室の移動があったものの、その他は特に問題なくおおむね順調に進展している。胎児起源の疾患のモデルとしてのマウスに加えて、簡便なミジンコの系を利用することにより、生理活性化学物質のin vitro評価だけでなくin vivo評価がより加速することが期待できる。
引き続き前年度からの研究を継続すると同時に、領域内で進めている共同研究について、必要に応じてゲノミクスによる影響解析、マウスやミジンコを用いたin vivo評価、影響解析を行う。研究遂行上の問題は特に生じていない。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件)
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