研究領域 | 天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 |
研究課題/領域番号 |
23102005
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 資正 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40116033)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ケミカルバイオロジー / 活性天然物 / 海洋薬物資源 / 標的分子 / 医薬シーズ |
研究実績の概要 |
今年度は、研究計画に従い以下の検討を実施した。 1. がん血管新生を強力に阻害するcortistatin Aアナログの標的分子の解析については、前年度、細胞破砕液からのビオチン標識活性アナログプローブを使用するプルダウンアッセイにより、複数の結合タンパク質の存在を確認していた。今年度はLC-MSによるタンパク質の同定を行い、それに成功した。現在、同定したタンパク質が、実際にcortistatin Aアナログの血管新生阻害作用に関与しているか否かの検討を進めている。 2. Cortistatin Aアナログの構造活性相関研究の過程で、活性アナログ化合物と非常に類似した化学構造を有しながら、活性を保持しない不活性アナログ化合物を見出した。そしてこれを、標的分子解析の比較実験に用いるためにプローブ化を行い、これに成功した。 3. 新たな結合タンパク質の解析手法として、ペプチド提示型phage libraryから、プローブ分子を用いて結合タンパク質候補を探索するPhage display法の確立を行い、これに成功した。現在、研究代表者が保有する活性天然物を利用して、確立した手法の有用性についての検証実験を進めるとともに、本手法の最適化を行っている。 3. 潜在性結核菌に有効な抗菌物質として見出した新規aaptamine類に関しては、標的分子解析を実施するための化合物供給を目的として、その全合成研究を進め合成ルートの確立に成功した。現在、簡便かつ高収率な合成ルートとすることを目指して、反応条件の最適化等を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に各活性天然物の標的分子解析が進行しており、新たな解析手法としてphage display法の確立にも成功している。また、新規aaptamine類についても、基本的な全合成ルートは確立できており、標的分子解析の準備が整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
継続して、がん血管新生阻害物質cortistatin Aアナログの標的分子解析を進める。また、確立したphage display法の有用性を実証するとともに、各種活性天然物の標的分子解析に応用して行く。
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