研究実績の概要 |
①オートファジーはリソソームを介して非選択的にタンパク質を分解する経路であり, がんや神経変性疾患に深く関わっていることが知られている.オートファジーを制御する化合物をスクリーニングした. その結果, カルコン類であるXanthohumol (XN)にその活性を見出した. 次にXNの結合タンパク質の探索を行った. その結果, valosin containing protein(VCP)を見出した. VCPは小胞体内で蓄積した不良タンパク質を細胞質へ輸送するのに関わっていることが知られているが,近年autophagyとの関連が報告されている.そこで実際にVCPがオートファジーを制御しているか調べるためにVCPをknock downした結果, LC3-IIの発現上昇が見られた.さらにVCP-GSTのリコンビナントタンパク質を用いたin vitro binding assayの結果, VCPはXNに直接結合していることが示唆された. ②前立腺がんの治療にはアンドロゲンアンタゴニストが用いられているが,既存の臨床薬は種類及びその構造が限られており,長期投与による耐性細胞の出現が問題となっている.そこで,既存薬とは異なる骨格のアンドロゲンアンタゴニストの取得を目的とした.AR結合化合物予測プログラムにより選別された16の候補化合物に対し,実際にARに結合するかどうかをin vitroで評価した.その結果,既存薬とは異なる構造を有するT5853872,3001607を取得した.この両化合物ともにヒト前立腺がんLNCaP細胞においてアンドロゲンの1つであるDHT依存的に発現上昇するPSA mRNA及び細胞増殖を濃度依存的に阻害した.
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