研究領域 | 天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 |
研究課題/領域番号 |
23102007
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松永 茂樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60183951)
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研究分担者 |
高田 健太郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (90455353)
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キーワード | 海産無脊椎動物 / 海洋微生物 / 抗腫瘍性 / 酵素阻害 / 探索 |
研究概要 |
1.試料 天然抗腫瘍性リガンド探索のための試料として、研究代表者研究室に所蔵の(1)浅海産海産無脊椎動物、(2)深海性海産無脊椎動物、および(3)海洋微生物由来の抽出物ライブラリーを用いた。また、練習船による航海においてドレッジを行い、深海性無脊椎動物の試料を増強した。 2.生物活性試験 細胞応答試験は、細胞毒性試験[(1)p53の突然変異状態の異なる3つのがん細胞および(2)多剤耐性および標準型HeLa細胞に対する細胞毒性の感受性の差違を指標とした。酵素阻害活性はヒストンデアセチラーゼ(HDAC)およびカテプシンBに対する影響を調べた。 3.単離・構造決定 活性を示した試料数種からの活性成分の単離・構造決定が現在進行中である。ここでは、単離構造決定が完了した1例について述べる。海洋由来の真菌Penicillium sp.の培養液が顕著な細胞毒性を示したため、大量培養を行い活性成分の探索を行った。その結果、多数の成分が得られた。その内の主要成分は、陸上起源の真菌から発見されたgliotoxinであり、それ以外の活性成分の多くは既知のgliotoxin類縁化合物であった。それらに加えて、2つの新規化合物が発見された。1つはbis(dethio)-10a-methylthio-3a-deoxy-3,3a-didehydrogliotoxin、もう1つは6-deoxy-5a,6-didehydrogliotoxinであり、これらの構造決定は機器分析データおよび化学誘導体化により導かれた。今回単離された化合物のヒストンメチル基転移酵素に対する阻害活性の構造活性相関を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに、海洋由来の真菌から新規化合物を2つ発見し、それらの興味深い酵素阻害活性について調べた。これ以外の活性成分の探索研究が進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の探索研究を鋭意前進させるとともに、新規試料の取得、スクリーニング、ならびに活性成分の探索研究を進める予定である。
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