計画研究
3Y1ラット繊維芽細胞は生物活性物質の存在下様々な表現型の変化を示し、その変化が投与した化合物の活性発現機序を反映することが知られるため、培養細胞と顕微鏡観察を組み合わせた化合物探索スクリーニングにおいてしばしば用いられる。そこで、この試験系を用いて、深海で採取した海洋生物および海洋微生物の培養液からの活性物質の探索を試みた。大島新曽根産カイメンS12-302の抽出物が長時間かけて当該細胞を細胞死に至らせるため、その遅効性細胞毒性物質の単離構造決定を行った。5つの活性成分を得て、スペクトルデータの解析をおこなったところ、既知化合物のpoecillastrin CおよびDならびにその新規誘導体であることが判明した。新規化合物の構造は、2次元NMRデータの詳細な解析により導いた。なお、poecillastrin類は液胞型ATPaseの強力な阻害剤で、この阻害活性に基づき抗腫瘍活性を示すことが知られていて、抗がん剤としての応用が期待されている。しかし、カイメンからの収量が少なく、分子内の24の不斉中心の絶対配置が未決定で、一部について相対配置が提唱されているのみである。そこで、本化合物の今後の有効利用を視野に入れ、絶対配置の決定を試みた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件)
Org. Lett.
巻: 17 ページ: 2646-2648
10.1021/acs.orglett.5b01020
Tetrahedron
巻: 71 ページ: 5013-5018
doi:10.1016/j.tet.2015.05.070
巻: 71 ページ: 9564-9570
10.1016/j.tet.2015.10.062
J. Nat. Prod.
巻: 78 ページ: 2808-2813
10.1021/acs.jnatprod.5b00795