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2011 年度 実績報告書

疾患および再生シグナルを制御する新規天然物リガンドの探索

計画研究

研究領域天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御
研究課題/領域番号 23102008
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関千葉大学

研究代表者

石橋 正己  千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90212927)

研究分担者 荒井 緑  千葉大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (40373261)
當銘 一文  千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (80563981)
キーワード天然物 / シグナル伝達 / 有機化学 / スクリーニング / ウィント / ヘッジホッグ
研究概要

当研究室に構築した天然物抽出エキスライブラリーを用いて,ウィント,ヘッジホッグ,ヘス等のシグナル分子を標的とした天然物の探索を行った.
1.ヘッジホッグシグナル阻害作用に関してルシフェラーゼ試験法により評価する方法を用いたスクリーニングにより,トウダイグサ科マングローブの仲間Excoecaria agallocha葉部より活性成分として新規フラボノイド配糖体ゲワインを単離した.本化合物はPTCHやBCL2のmRNAの発現およびタンパク質レベルを低下させることがリアルタイムPCRおよびウェスタンブロット実験の結果明らかとなった.またゲワインはSmoのsiRNAによる遺伝子発現抑制下においてもPtchのmRNA発現を抑制したため,Smoの影響を受けることなくHhシグナルを抑制することがわかった.さらにゲワインは転写因子GLIの核内への移行を阻害することによりHhシグナルを阻害することも明らかとなった.一方,ベンケイソウ科Bryophyllum pinnatum葉部より活性成分として2種のフラボノイド配糖体を単離した.これらもGLI1の転写活性を濃度依存的に阻害し,ヘッジホッグシグナル経路の標的であるPTCHやBcl2タンパクの発現を抑制し,PtchのmRNAの発現を抑制した.
2.ウィントシグナルを標的としたスクリーニングにより,センダン科Xylocarpus grantumより活性成分として新規リモノイド型ジテルペン2種を単離した.これらはTCF/βカテニン転写活性を濃度依存的に阻害し,2種の大腸がん細胞(SW480, HCT116)に対して対照細胞(293細胞)より強い細胞毒性を示した.また千葉県産放線菌よりノカルダミン等の含窒素環状ラクタム化合物を活性成分として単離した.
3.ヘス1タンパクに結合する天然物のスクリーニングにより,ジンチョウゲ科植物より3種のフラボノイド配糖体を単離した.このうちの1種はヘス1二量体形成阻害作用を示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

ウィント,ヘッジホッグおよびヘスシグナルに対するスクリーニング研究の成果として,タイおよびバングラデシュ産植物,および千葉県産放線菌からから予想よりも数多くの活性化合物を単離した.さらにそれらの化合物の分子レベルでの作用機構についての解析も行い,興味深い結果が得られた.

今後の研究の推進方策

ウィントシグナル,ヘッジホッグシグナル,およびヘスシグナルに関してさらに継続してスクリーニング研究を行っていく.これまでに得られた興味深い活性成分については,その分子レベルでの作用メカニズムの解析に関する実験をさらに進展させ,活性化合物の作用点や標的分子を解明するための実験方法を検討する.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] New Hedgehog/GLI-signaling inhibitors from Adenium obesum2011

    • 著者名/発表者名
      Midori A.Arai
    • 雑誌名

      Organic and Biomolecular Chemistry

      巻: 9 ページ: 1133-1139

    • DOI

      DOI:10.1039/c0OB00677G

    • 査読あり
  • [雑誌論文] New pyranonaphthoquinones and phenazine alkaloid isolated from Streptomyces sp.IFM 11307 with TRAIL resistance-overcoming activity2011

    • 著者名/発表者名
      Mohamed S.Abdelfattah
    • 雑誌名

      Journal of Antibiotics

      巻: 64 ページ: 729-734

    • DOI

      DOI:10.1038/ja.2011.85

    • 査読あり
  • [雑誌論文] New Hedgehog/GLI signaling inhibitors from Excoecaria agallocha2011

    • 著者名/発表者名
      Yusnita Rifai
    • 雑誌名

      Bioorganic Medicinal Chemistry Letters

      巻: 21 ページ: 718-722

    • DOI

      DOI:10.1016/j.bmcl.2010.11.126

    • 査読あり
  • [学会発表] 天然物と千葉2011

    • 著者名/発表者名
      石橋正己
    • 学会等名
      千葉市科学フェスタ2011および国立大学フェスタ2011千葉大学薬学部公開講演会
    • 発表場所
      千葉(招待講演)
    • 年月日
      2011-11-06
  • [学会発表] 天然物パワーをひきだすものとりを目指して2011

    • 著者名/発表者名
      石橋正己
    • 学会等名
      第46回天然物化学談話会
    • 発表場所
      熱川(招待講演)
    • 年月日
      2011-07-07
  • [学会発表] ヘッジホッグおよびウィントシグナル阻害作用をもつ天然物の探索2011

    • 著者名/発表者名
      石橋正己
    • 学会等名
      第15回日本がん分子標的治療学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-06-23
  • [図書] 自然のなかに薬をさがす~千葉発の天然物研究小話2011

    • 著者名/発表者名
      石橋正己
    • 総ページ数
      94
    • 出版者
      千葉日報社
  • [図書] ベーシック有機構造解析2011

    • 著者名/発表者名
      森田博史, 石橋正己
    • 総ページ数
      214
    • 出版者
      化学同人
  • [備考]

    • URL

      http://www.p.chiba-u.ac.jp/lab/kouzou/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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