研究領域 | 天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 |
研究課題/領域番号 |
23102009
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
品田 哲郎 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30271513)
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研究分担者 |
大船 泰史 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20142078)
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キーワード | グルタミン酸 / 受容体 / 天然リガンド / 標的分子探索 |
研究概要 |
グルタミン酸は哺乳動物の主要な神経情報伝達物質であり複雑な脳神経機能を司っている。その失調はさまざまな脳神経疾患に関与している。グルタミン酸受容体の情報伝達をON/OFFするリガンドを提供できれば、脳神経科学研究のツールや脳疾患の治療薬の開発に繋がる。本研究では、天然由来のリガンド類であるカイトセファリンおよびアクロメリン酸Aをリードとして、AO1(標的分子探索と生物学的評価)とAO3(新方法論・合理的設計)と連携して、これらの天然リガンド類の標的分子の解明を目指す。これにより生命科学研究に資する高活性グルタミン酸リガンドを創製することを目的とする。 カイトセファリンの標的タンパク質の解明を視野に、本年度はその基礎となるアクロメリン酸Aの合成研究を実施した。具体的には、ヒドロキシプロリンから誘導できる有機亜鉛試薬とピリドン部位を有するプロモ体とのカップリング反応により、天然物のみならずさまざまな誘導体合成に対応できる合成法の開発に取り組んだ。その結果、ジアステレオ選択性には課題が残るものの、望む天然物を合成できた。アクロメリン酸Aのグルタミン酸受容体との結合特性はいまだ明らかでない。イオンチャネル型グルタミン酸受容体が候補と考えられているので、サブタイプ受容体選択性を調べるためにラット脳膜画分を用いた受容体結合実験を行った。現在、その解析を進めている。カイトセファリンについても、標的分子探索に向けて、構造修飾が可能な位置の推定とそこに焦点を絞った構造活性相関研究を展開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アクロメリン酸Aは然物からの供給に大きな制限があり、量的供給が可能な合成法の開発が望まれている。その新しい合成法を開発し、グルタミン酸受容体との結合特性研究を実施できており、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
アクロメリン酸Aの全合成にはたどり着いたものの、立体選択性・収率の面で改善すべき余地が残されている。これら課題を早急に解決し、かつ、標的分子探索に適した分子プローブ合成に向けた、さまざまなアナログ合成を行うことが今後の課題である。カイトセファリンについても同様に、標的分子探索に向けたアナログ合成を進展する計画である。
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