研究領域 | 天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 |
研究課題/領域番号 |
23102010
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邉 秀典 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00202416)
|
研究期間 (年度) |
2011-07-25 – 2016-03-31
|
キーワード | 生物活性天然有機化合物 / 全合成 / 類縁体 / 構造-活性相関 / 標識体 |
研究概要 |
天然の癌細胞転移阻害活性物質であるMoverastinより強い活性を示しかつ作用機構が異なるUTKO1類縁体について両末端の環部分をつなぐリンカーに着目し、長さを変えた類縁体の合成を行った。今後、慶應大学の井本教授の下で生物活性試験が実施される予定である。 Neurymenolideについては、最後の鍵段階である最終的な炭素鎖延長反応に成功した。これにより、Neurymenolide自体は勿論のこと、各種類縁体の合成も可能になった。二重結合の有無や、側鎖の長さ、アトロープ異性と活性との関係を明らかにしていく予定であるが、それと同時に標識導入により標的タンパク質の同定を目指していく目処が立った。 Exiguamideは、両鏡像体合成が完了した。それらの生物活性を確認した上で、標識体の合成と作用メカニズムの解明へと発展していく予定である。 その他にも昆虫成長阻害物質であるPenifulvin Aの両鏡像体ならびに類縁体合成を行った。それらの生物活性の結果とあわせ、標識化合物の分子設計ならびに合成に取りかかりたいと考えている。また、強い抗腫瘍活性を示す新奇な骨格を持つLitseaone Aについては、合成により提出構造が間違っていることを見出し、真の構造を明らかにした。現在、絶対立体配置の決定が進行中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
UTKO1類縁体、Neurymenolide、Exiguamide、Penifulvin AやLitseaone Aなど、合成を行っている化合物については、光学活性体の合成などが完了し、順調な成果が挙がったと考えている。当初の予定では種々の標識体合成まで行うつもりであったが、UTKO1以外については標識体合成と標的タンパク質の同定までまだ切り込んでいけていない点についてやや遅れていると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
上記のNeurymenolide、Exiguamide、Penifulvin AやLitseaone Aに関しては、予定通り類縁体ならびに標識体の合成へと展開していく予定である。 また、その他いくつかの生物活性天然物の合成研究に着手しており、これらについても合成が完了し次第、順次標識タンパクの同定研究へと移行していきたいと考えている。 また、新奇な標識法の開発にも来年度より着手する予定である。
|