研究領域 | 天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 |
研究課題/領域番号 |
23102012
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上田 実 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60265931)
|
キーワード | ケミカルバイオロジー / 天然物リガンド / コンパクト分子プローブ / 標的タンパク質 |
研究概要 |
本年度は、植物系および動物細胞系における生理活性配糖体分子の持つ生物活性を詳細に検討することで、新しい生理活性制御機構を見いだし、これまでにない化学的コンセプトを得ることを目標に研究を行った。 また、親和性に基づく標的分子探索法として、古典的な分子プローブ法に改良を加えたコンパクト分子プローブ(CMP)法を開発した。CMP法は、標的同定に際して常に問題となる非特異的結合を全く与えない画期的なものであることがわかり、今後の研究遂行における強力な手法と期待された。 また、植物系における配糖体分子の機能を探るため、膜標的タンパク質及び輸送体タンパク質の探索を開始した。前者は、CMP法を用いて検討した。4種の立体異性体型CMPを合成し、独自に立ち上げた運動細胞アッセイを用いる生物学的評価を行った。その結果、糖部分の分子認識に関する興味深い知見を得た。抗体結合型半田ビーズをCMP法と組み合わせて用いることで、一層の効率的精製が実現できると考え、実験に着手した。一方後者については、分子遺伝学的方法によって研究を行った。後者の検討には、モデル生物実験系の立ち上げが必要であったため、シロイヌナズナおよびアフリカツメガエル卵母細胞を用いる実験系を構築した。各種変異体の作成と解析を行っている。 一方、動物細胞系における配糖体分子の機能を探るため、ステロイド配糖体に着目した。計画班員の半田との共同研究により、配糖体及びアグリコンをリガンドとして固定した半田ビーズを作成し、Hela細胞の細胞質画分を実験材料として、標的タンパク質の探索を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
in vivo新分子機構に関しては、動物系における類似例の探索と研究の着手が大きな課題であったが、本年度の研究により、有望な例を見つけ、研究に着手することが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度と同様に、標的探索と関連タンパク質探索の方法論を模索する。また、計画班員のみ成らず、次年度より合流する公募班員との共同研究を推進することで、一層の進展を目指したい。
|