特筆すべき成果としては、天然物リガンドの立体異性体が標的選択性のチューニングに有用であることを明らかにした点を挙げることができる。天然物リガンドは「鍵束」のように複数の標的タンパク質と結合する。いくつかの研究成果から、「鍵束」の分解や「親鍵」の構造修飾によって、その標的選択性と活性強度は劇的に変化することが分かってきた。天然物リガンドのもつこの「鍵束」のような複雑な性質は、それらのケミカルツールとしての利用を阻んできたが、一方で、その標的選択性を絞り込むことができれば、医薬品としての副作用低減や生物学ツールとしての有用性向上が期待できる。植物ホルモンミミック コロナチンを用いて、実例を示した。
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