研究領域 | 天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 |
研究課題/領域番号 |
23102013
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
叶 直樹 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40317293)
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研究分担者 |
臼井 健郎 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (60281648)
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研究期間 (年度) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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キーワード | 生理活性物質 / 標的タンパク質 / アフィニティー精製 / カルベン / 光反応性基 |
研究概要 |
今年度はフルオロカーボンリンカー(FCL)を用いた小分子固定化アフィニティー樹脂の開発を行なうため、新規機能性光アフィニティー樹脂に利用できる光反応性官能基の探索を行なった。二つの異なる波長の紫外光を利用することで小分子の固相担体への固定化と固相からの放出が制御できるスチレン型ジアジリン分子を検討した。この分子を光反応性基として用いた場合、我々がこれまでに用いていたジスルフィド解裂型光固定化アフィニティー樹脂よりも固定化小分子の定量性が向上することを確認した。 一方、標的がまだ決まっていない生物活性物質の構造活性相関や標的探索プローブの合成も検討した。ポリエンマクロラクタムheronamide Cの合成に関しては、初期提唱構造(我々が誤りを指摘した構造)を全合成した方法論(すなわちC11-C12間Stilleカップリングによる閉環)が改訂構造(真のheronamide Cの構造)の合成には全く使えないことが分かったので、改訂構造の合成にはC10-C11 間metathesis反応を利用した閉環を検討中である。 FD-891、892の合成では、両化合物の16員環マクロラクトンユニットを、遠隔不斉誘起型ビニロガス向山アルドール反応とメタセシス反応を利用して短工程かつ良好な総収率で構築する事に成功した。FD-981マクロラクトンフラグメントに関しては、合成終盤にて活性に重要な役割を担っているC8-C9エポキシドの立体選択的な作り分けにも成功した。 Vicenistatin に関しては、その作用機作に生体脂質成分の関与が示唆されたため、生体膜透過型の脂質成分を人工合成し、細胞への投与実験や処理実験を行なった。その結果からvicenistatin の作用機作の絞り込みを行なうことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フルオロカーボンリンカーを用いた光親和型アフィニティー樹脂の開発と、生理活性化合物の新規標的探索ツールの開発のうち、前者の方が今後の可能性が期待できると判断されたため、今年度はそちらに焦点を絞った結果、スチレン型ジアジリン分子の詳細な検討を行い、高機能アフィニティー樹脂としての可能性を発見することができた。
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今後の研究の推進方策 |
フルオロカーボンリンカーを用いた光親和型アフィニティー樹脂の開発、3つの生物活性化合物の構造活性相関、標的探索プローブの創製、標的探索に焦点を絞り引き続き研究を推進する。
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