研究領域 | 天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御 |
研究課題/領域番号 |
23102014
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
木越 英夫 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90169839)
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研究分担者 |
早川 一郎 筑波大学, 数理物質系, 助教 (20375413)
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キーワード | アプリロニンA / 高活性アナログ / ハイブリッド / ミカロライドB |
研究概要 |
アプリロニンAのプローブ分子調製のために有効な修飾位置を明らかにし、蛍光プローブ、光アフィニティプローブ、ビオチンプローブを開発した。これらのプローブ分子は、天然物に匹敵する腫瘍細胞増殖阻害活性やアクチン脱重合活性を有しており、有効なプローブ分子を判断できた。 ビオチンプローブを用いてアプリロニンAの標的分子を探索した結果、これまでに判明しているアクチン以外に、アクチン関連タンパク質2および3(Arp2,Arp3)がアプリロニンAと結合することが明らかとなった。これらのタンパク質は、アクチンファイバーに分岐を形成するための複合体を形成する上で重要なタンパク質であるので、アプリロニンAの強力な抗腫瘍性との関連に興味が持たれる。 蛍光プローブを用いてアプリロニンAの細胞内動態を調査したところ、アプリロニンAは細胞質に蓄積され、容易には細胞外に流出しないことがわかった。アプリロニンAと同程度のアクチン脱重合活性を持つ海洋天然物であるアプリロニンCやミカロライドBの蛍光プローブと比較した結果、アプリロニンAの細胞質内の蓄積量が他に比べて極めて多いことがわかり、生物活性との関わりを調べている。 また、これまでの構造活性相関から得られた知見をもとに設計したアプリロニンA-ミカロライドBハイブリット化合物の化学合成に成功した。この化合物の生物活性を検定したところ、アクチン脱重合活性はアプリロニンAよりも強くなったが、腫瘍細胞増殖阻害活性が著しく低下していた。この結果より、アクチン脱重合活性と腫瘍細胞増殖阻害活性は直接的には関係していないことがわかった。今後、この知見を活かして、高活性アナログの設計と合成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アプリロニンA-ミカロライドBハイブリッドの合成については完了し、その生物活性を評価することができた。
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今後の研究の推進方策 |
ハイブリッド化合物について、期待された生物活性を持たなかったので、設計について再検肘して新たなバイブリッド化合物の合成を行う。
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