研究領域 | 太陽系外惑星の新機軸:地球型惑星へ |
研究課題/領域番号 |
23103002
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
林 正彦 国立天文台, 大学共同利用機関等の部局等, 台長 (10183914)
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研究分担者 |
高遠 徳尚 国立天文台, ハワイ観測所, 准教授 (50261152)
GUYON Olivier 国立天文台, ハワイ観測所, RUCH研究員 (90399288)
住 貴宏 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30432214)
左近 樹 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70451820)
藤原 英明 国立天文台, ハワイ観測所, RUCH研究員 (70581445)
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研究期間 (年度) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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キーワード | 系外惑星 / 惑星大気 / ガス惑星 / 地球型惑星 / ハビタブルゾーン |
研究概要 |
プリンストン大学との共同研究として進めている高コントラスト赤外線面分光器 (CHARIS) の開発については、昨年度の詳細設計の終了を受け、平成25年度は最終設計を進め、2013年12月5日と6日にプリンストン大学にて最終設計審査を行った。その結果、当初想定していたガラス材料とは違った材料を分散素子として使用すると、分光器の性能が格段に高まることが判った。そのため、平成25年度の追加配分にて新たな分散素子材の冷却試験を行い、CHARISの設計精度を高めることで実機の製作をより確実に進められる状態となった。またハワイ観測所においては、CHARISの前置光学系となる超高次波面補償光学装置 (SCExAO) の製作を終了し、すばる望遠鏡を使用した実機テストを進めると同時に、実機テストの結果を受けてより高性能化をめざしたアップグレードを始めた。 観測研究においては、すばる望遠鏡を使用した系外惑星撮像プログラム (SEEDS) によって、昨年度にひき続いてガス惑星を直接検出した。この惑星は、太陽の1.2倍の質量を持つ恒星GJ504の周囲に存在し、これまで直接撮影された中で最も小さな質量 (木星の4倍) を持つ。この惑星の年齢は1.6億年、表面温度は510Kであり、天球上で主星から44天文単位離れた位置に存在していた。 またニュージーランドに設置した望遠鏡を用いた重力マイクロレンズ法による観測 (MOAプロジェクト) により、昨年度と合わせて10個の系外惑星を間接的に検出した。その中には、海王星質量程度の惑星が2個、スーパーアースが2個含まれている。 なお、南極ドームふじ基地における観測については、観測できない状態が続いており、また円安によりCHARISの開発経費が増大したことから、最低限の通信を除いては運用を継続しないこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CHARISの開発については、昨年度にスペクトル間のクロストークを低減する方法についてより深い検討を行ったために、設計工程にやや遅れが生じていた。本年度は、この遅れに加えて、分光器内のリレー光学系の詳細設計を入念に検討したため追加時間が必要となり、結果として最終設計審査が当初予定より数か月ほど遅れることとなった。 また南極ドームふじ基地にある観測装置は、低温のため動作不能となった。 すばる望遠鏡や重力マイクロレンズ法を用いた観測は、当初予定通り順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
すばる望遠鏡を用いた観測 (SEEDS) では、より低質量の惑星をより主星に近い位置に発見することを目指して、引き続き観測を推進する。なお、動作不能となった南極ドームふじ基地に設置した観測装置については、円安によるCHARISの開発経費の増大も考慮して、運用を継続しないこととした。南極における系外惑星の観測は試験的なもので、本計画研究の主要課題とはなっていないので、この観測装置の運用を停止しても、本計画研究の主目的の遂行に支障はない。 CHARISの開発について、最終設計審査での指摘点の解決を図ると同時に、プリンストン大学にて実機の製作を開始する。SCExAOについては、すばる望遠鏡に搭載して試験観測を継続し、その結果を受けてさらなる性能向上を進める。
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