研究領域 | 太陽系外惑星の新機軸:地球型惑星へ |
研究課題/領域番号 |
23103005
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
井田 茂 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (60211736)
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研究分担者 |
長沢 真樹子 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00419847)
野村 英子 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20397821)
渡邊 誠一郎 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50230967)
中本 泰史 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (60261757)
犬塚 修一郎 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80270453)
生駒 大洋 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80397025)
小久保 英一郎 国立天文台, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (90332163)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 系外惑星 / 木星型惑星 / 地球型惑星 / 重力多体シミュレーション / 流体シミュレーション |
研究実績の概要 |
原始惑星系円盤や系外惑星の観測の進展により、本年度の理論研究は観測データを強く意識するものとなった。 円盤については、犬塚が原始星及び円盤の形成過程について詳細に調べPTEP誌のレビュー論文としてまとめた。野村は、円盤内での塵の合体成長が円盤温度分布および水分子分布に及ぼす影響を調べ、ハーシェル、スピッツァー宇宙望遠鏡により観測された中間・遠赤外線水分子輝線の観測値は、円盤表層部に小さなダストが多く存在してことを示すことがわかった。中本は、輻射によって氷がダストから非熱的に脱離する効果を明らかにし、その結果,中心星のスペクトルによっては脱離が卓越し,円盤表面には氷凝縮境界が見えなくなることがわかった。渡邊は、光蒸発を考慮した中心星加熱降着円盤におけるタイプIの惑星移動の数値計算および解析的計算を行い,円盤ガス散逸時のスーパーアースの停止位置が惑星の初期位置に応じて,円盤内縁付近もしくは1―3 AU付近となることを示した。 小久保・井田は、多様な原始惑星系からの地球型惑星形成を多体シミュレーションを用いて調べ、原始惑星の初期空間分布にどのように地球型惑星の質量や軌道が依存するかを明らかにした。井田は、複数巨大惑星の連鎖形成モデルのシミュレーションの結果をまとめ、それが太陽系の木星・土星の形成をよく説明することを示した。長沢は、HD4732において観測された複数惑星系の安定性について数値計算を行い、惑星質量の上限を求めた。 Kepler宇宙望遠鏡が検出した5つのスーパーアース(Kepler-11b-f)はどれも密度が低く、明らかに大気をまとっていると考えられる。生駒は、トランジット観測で得られた質量と半径から大気量を理論的に見積もり、さらにそれが原始惑星系円盤ガスから獲得するための条件をガス集積計算によって示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画していたものに加えて、急激に進む観測データを具体的に説明する理論モデルを提出することができた。
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今後の研究の推進方策 |
チリに国際協力で建設した大型電波望遠鏡群のALMAが稼働を始めたので、原始惑星系円盤について、これまでとは精度も量も桁違いのデータが出てくることが予想されるので、それに目を光らせ、観測データにあまり引っ張られることがないように気をつけながらも、観測データを説明する理論モデルも積極的に構築していきたい。
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