昨年度に引き続き125GeVの質量を持つヒッグス粒子の示唆する新たな物理について、超対称標準模型に基づいて研究した。ミニマルな超対称標準模型では、125GeVのヒッグス粒子の存在は、比較的重い超対称粒子の質量スペクトルを示唆し、電弱エネルギースケールを実現するためには超対称粒子の質量パラメータ間の微調整が必要となる。このような場合に質量パラメータ空間の中で現象論的に意義のある領域を同定する新たな方法を提案しその有用性をNon-Minimal Higgs modelという比較的単純な質量スペクトルを持つ模型を用いて示した。特に、1,2世代のスクォークが軽くなる領域があることやミューオンの異常磁気能率の実験と理論予言知のずれを説明できる領域があることを示した。これらはLHCの実験において検証されうる。この結果は論文として発表する予定である。 LHC実験で存在が示唆される750GeVの新粒子に関して、それを説明する新たな模型を提唱し、論文として発表した。さらに、将来のリニアコライダーにおいて実現されると期待されるフォトン・フォトン・コライダーにおいて、この粒子の存在をどのように検証するか研究し、論文として発表した。 偽りの真空からの崩壊率を繰り込み群の効果を取り入れて計算することに成功し、超対称理論の場合に適応することによって、繰り込み群の効果が大きくなる場合があることを示した。また、宇宙の軽元素合成の暗黒物質の対消滅に対する制限を考察し、その重要性を指摘した。これらは宇宙進化史が標準模型を超える物理に与える影響として注目される。
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