研究領域 | 先端加速器LHCが切り拓くテラスケールの素粒子物理学~真空と時空への新たな挑戦 |
研究課題/領域番号 |
23104010
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡利 泰山 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任准教授 (40451819)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 素粒子論 / 超弦理論 |
研究実績の概要 |
新学術領域のB03班、「テラスケール物理から超弦理論への展開」では、最先端加速器実験と超弦理論の間に接点を作り上げる理論的研究を遂行することにより、実験成果を最大化することを目標とする。平成26年度には、主に2つのテーマで成果が得られた。
1点目は、AdS/CFT 対応のハドロン高エネルギー散乱の物理への応用。ハドロンの高エネルギー散乱では、パートンの果たす役割が重要になる。このパートンの性質を調べることと、ハドロンの非摂動的性質(とくに閉じ込め)の物理を同時に理解できる理論的枠組みを構築する必要がある。本年度は、パートンの3次元的分布関数を、超弦理論を用いて求める手法を開発することに成功した。
2点目は、超弦理論の真空の集合(string landscape)の統計。超弦理論の真空は、現時点の理解に沿う限り、非常にたくさんあることが分かっている。それらのたくさんの真空で、低エネルギーで興味ある物理量がどのような統計分布に従うか、という問題は、10年以上前から興味を持たれていた問題である。本年度、我々は、その分布を調べる手法の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研費申請段階で予定した研究テーマに比べ、より面白いテーマが発生してきたため、そちらを優先している。申請した研究課題に限れば進捗状況は 100% ではないが、研究の output としては、順調と自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
科研費申請にあった研究課題のうち、上記の理由により後回しにしたテーマも、すでに着手しているが、論文として完成の形を見るには現在のところ至っていない。こちらを今後1年以内には形にしたいと考えている。
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