有機変換反応の高効率化と高選択性の実現は有機合成化学者に課された命題の一つである。本研究は、これらを実現する新規触媒の設計開発を目的として、酸性官能基を同一分子内に複数組み込み、それらの分子内水素結合を分子設計戦略とする新たなキラルブレンステッド酸触媒系、多酸系複合型触媒の設計開発を行った。その結果、同一分子内にリン酸官能基を二つ組み込んだキラルビス-リン酸触媒の設計開発に成功した。さらに、このキラルビス-リン酸の開発時における知見をもとに酸性度を向上させるためのリン酸と、反応基質を活性化するためのリン酸基とを作用分離させたC1対称なビス-リン酸触媒を新たに開発した。
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