研究領域 | 有機分子触媒による未来型分子変換 |
研究課題/領域番号 |
23105011
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩渕 好治 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20211766)
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研究期間 (年度) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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キーワード | 有機触媒 / キラル素子 / 不斉合成 / 酸化触媒 / 生物活性物質 / ニトロキシルラジカル / オキソアンモニウム塩 |
研究概要 |
有機分子触媒を活用して調製されるシクロヘプタノイド型キラル合成素子8-oxabicyclo[3.2.1]oct-3-en-2-oneへのジアステレオ制御下のシクロペンタン環の増築を鍵として、短工程かつ高収率でヒドロアズレノイド型化合物に至る2つの合成経路を確立することに成功した。すなわち、(1)8-oxabicyclo[3.2.1]oct-3-en-2-oneとシクロペンタジエンとのDiels-Alder反応とそれに伴い生成するシクロヘキセン環の開裂と位置選択的アセタール化を鍵工程として、精密修飾したヒドロアズレン誘導体を合成するルートと、(2)素子エノン部の還元とエノールトリフラート化を経て(E)-1-oxo-2-butenyl基を導入後、有機強酸処理によってNazarov環化を惹起してシクロペンテノン部を増築し、そのエノン部のジアステレオ選択的還元を経てヒドロアズレン骨格を構築するルートを開発した。前者からは抗腫瘍活性セスキテルペノイドであるエングレリンAの既知合成中間体およびレドールの形跡合成を行い、キラル素子としての有用性を実証した。また、アルコール酸化触媒1-Me-AZADOLの短工程合成の検討途上で得られたオキサアザホモアダマンタンがアルコール酸化触媒として機能することを発見した。さらに、シクロヘプタノイド型素子合成の鍵工程となるKornblum-DeLaMare転位反応の効率向上を期して新規触媒の探索を行った結果、N,N-ジメチルアミノアダマンタンが優れた反応性を示す触媒として機能することを見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたヒドロアズレノイド型キラル合成素子を効率的に合成する方法を確立するとともに、これらを活用して生物活性物質の合成を行い、合成化学的機能性の一端を示すことができた。また、新規メカニズムを特徴とするアルコキシアミン型アルコール酸化触媒を見いだすことができた。
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今後の研究の推進方策 |
合成したキラル素子の有用性を開発するため、その大量合成法について検討を行う。また、これまで開発したシクロヘプテノイド型素子とヒドロアズレノイド型素子の機能性開発を目指して、生物活性を有するセスキテルペノイド天然物への変換を行う。
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