研究領域 | 超高速バイオアセンブラ |
研究課題/領域番号 |
23106003
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金子 真 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70224607)
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研究分担者 |
東森 充 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30346522)
多田隈 建二郎 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30508833)
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キーワード | 細胞機械インピーダンス / メカトロニクス / 高速ビジョン |
研究概要 |
ES細胞やiPS細胞が分化していく過程で、活性度の高い細胞を選んで培養していくことは最終的に生命力の高い組織を得る上できわめて重要である。細胞の活性度と細胞の機械インピーダンス(硬さや粘性)との間には密接な関係があることが知られている。本研究では数μmから数十μmの細胞の機械インピーダンスをマイクロ流路内に細胞を圧送し、その細胞のマイクロ流路内の動きを高速ビジョンで実時間追跡することによって、1000個/秒で細胞の機械インピーダンスを評価することができるシステムを構築し、最終的に三次元細胞組織構築システムに送り、In-vitroでの三次元細胞体の構築に寄与することを目的としている。機械インピーダンスの評価システムは大きく受動的手法と能動的手法に分けることができる。受動的手法とは細胞より小さい断面を有するマイクロ流路の出入り口に一定差圧を加え、そのときのマイクロ流路内の細胞の通過挙動を高速ビジョンで観察し、機械インピーダンスを評価する方法で、能動的方法とはマイクロ流路内の差圧を高速アクチュエータによって能動的に変化させ、細胞に周期的な負荷を与えた状態で細胞の変形能特性を観察する方法である。平成24年度は、細胞の粘性の影響を排除して、硬さの影響だけ抽出する”二相分離法”という新しい評価法を提案した。細胞がマイクロ流路内を通過する際、流入部では細胞の変形が発生するため、硬さと粘性の両者が細胞速度を支配するが、この変形過程後、硬さだけが細胞速度を支配する位相へ移行する。等速運動がはじまる分岐点を判定するソフトを開発し(東森充:研究分担者)、高速細胞観察装置(平成24年度購入)を使って実証実験を行った(多田隈健二郎:研究分担者)結果、従来方法に比べ、細胞の最終速度と細胞の大きさとの間の相関係数は格段に向上することを突き止めた(金子真:研究代表者)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数μmから数十μmの細胞の機械インピーダンスをマイクロ流路内に細胞を圧送し、その細胞のマイクロ流路内の動きを高速ビジョンで実時間追跡することによって、1000個/秒で細胞の機械インピーダンスを評価することができるシステムを構築するという目的に対し、これまでに受動的手法ではあるものの、粘性の効果を排除し、硬さ成分だけに着目した評価方法を確立しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はマイクロ入口部の運動に介在する粘性効果についてもその評価方法について考察していく予定である。
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