平成27年度は特に以下の3項目について研究を行った。 1) 超高速細胞硬さ評価システム構築(受動的方法):受動的方法については、医療診断応用を視野にいれ、細胞変形能抽出チップという新しい概念のチップを提案した。具体的には、マイクロ流路幅を広げ、その中央部に細胞硬さ評価チャンネルを組み込んだチップを試作し、計測精度の格段の向上を実現した。さらに高速化をはかるため、断面積が異なる3つのテストチャンネルを並列に配置する方法にもチャレンジした。実験を行った結果、並列方式は単に高速化がはかれるだけでなく、細胞硬さ評価の信頼性向上にも寄与することを明らかにした。 2) 超高速細胞硬さ評価システム構築(能動的方法):細胞変形能試験においてアクチュエータ側の動作流体とテストチャンネル内の動作流体を変えたい場合がある。この問題に対処するため、アクチュエータ側とテストチャンネル内に隔壁を設け、アクチュエータ側の作動流体とテストチャンネル内の液体が混ざらないようにするOn-Chip隔壁型トランスミッタのアイデアを出すとともにそれを具現化して基礎実験を行った。細胞マニピュレーションの周波数特性について調べた結果、120[Hz]までの応答周波数が実現できた。 3) 高速細胞ストレス印加時の細胞形状評価(能動的方法):共焦点顕微鏡を用いてストレス試験中の細胞形状の実時間計測を試みた。静止状態では細胞の形状計測は実現たものの、処理時間の限界により、数[Hz]を超えた時点での形状計測はうまく捉えることができなかった。
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