計画研究
本年度は,当プロジェクトの5年間にわたる総括をめざし,昨年度に引き続き,これまでに作製した異方性ハイドロゲル材料の更なる機能化と,単位組織の集積化・複合化による生体構造を模倣した組織の作製を行った。まず肝小葉ブロックの作製においては,肝細胞を内包するハイドロゲルファイバーを束状にし,潅流型チャンバー内にパッキングし,潅流培養を行うことで,肝細胞の機能維持および生存率の評価を行った。特に酸素濃度をモニタリングしつつ潅流培養することによって,生体の酸素消費をある程度再現できることが示唆された。また定量的PCRおよび免疫学的染色によって,流量が細胞機能に与える影響を評価した。さらに血管組織の作製については流路構造の内部に形成したハイドロゲル層を利用した血管組織を作製し,潅流培養を可能とする手法の確立を行い,機能評価を行ったほか,マイクロ流路技術および膜乳化法を用いて作製した微小なECM(コラーゲン)粒子を利用し,血管内皮細胞と複合化した状態で潅流培養を行うことで,内部に導管としての毛細血管網を形成したブロック状組織体の作製を実証した。さらに,微小なECM粒子の作製と,それを用いた3次元組織構築に関する基礎的な知見を得ることができた。特に,直径数マイクロメートルの架橋コラーゲン微粒子を用いた組織構築として,微粒子を内包する肝細胞ヘテロスフェロイドの形成,膵β細胞集塊の形成,平面状の肉厚組織の形成,を行い,それぞれ細胞の機能評価を行った。また,繊維状ECM材料を作製し,3次元細胞培養における有用性を実証できた。特に肝細胞組織については,薬物代謝評価や動物移植実験を行う際に有用であることが示唆された。以上の検討から,マイクロフルイディクス技術の3次元生体組織構築における有用性を,基礎的材料設計から潅流培養による細胞機能の発現に至る広い段階において実証することができたと言える。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 10件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Biomedical Materials
巻: 10 (6) ページ: 065019
10.1088/1748-6041/10/6/065019
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http://chem.tf.chiba-u.jp/gacb01/