研究領域 | 超高速バイオアセンブラ |
研究課題/領域番号 |
23106008
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹内 昌治 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (90343110)
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研究分担者 |
尾上 弘晃 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (30548681)
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キーワード | 知能機械 / マイクロマシン / マイクロ・ナノデバイス / 細胞・組織 / 再生医学 |
研究概要 |
(A)細胞の足場のためのマイクロ構造折り畳み技術の確立 細胞の足場として機能するマイクロプレートの2次元平面展開図上に、折り畳み機構をデザインすることにより、様々な形状の細胞の立体構造を構築する手法を確立した。具体的には、MEMS技術により作製したマイクロプレート上に細胞を培養し、隣接したプレートにまたがって細胞が増殖すると細胞の牽引力によってこの2つのプレートの一方が引き寄せられ立ち上がることがわかった。この原理を利用して、正十二面体などの多面体の展開図にあたるパターンのマイクロプレートを作製し、細胞培養後にそれらの牽引力によて望み通りの多面体構造をした細胞組織を作製することに成功した。 (B)マイクロプレートとして用いる足場材料の探索と表面処理法の確立 次に、マイクロプレートとして用いる足場材料を検討し、表面処理を施すことで、立体構造形成中に細胞がマイクロプレートからはがれることなく立体構造を構築できる技術を確立した。具体的には、これまで使用してきたパリレンにフィブロネクチンをコートすることで、細胞とプレートの密着性を向上させた。また、細胞の牽引力が弱いHepG2細胞は、単独ではプレートを折り畳めず、立体構造ができないが、3T3細胞と組み合わせることで立体構造を作製することができた。 (C)作製された3次元細胞組織の機能解析を行う 作製された3次元細胞組織の機能解析として、細胞の3次元細胞組織を構築後に細胞の生死検証を行い、立体構造構築の一連の行程が細胞に影響ないことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、MEMS技術を用いて作製したマイクロプレートを用いることで細胞からなる3次元立体構造を高速に形成する手法を確立することができた。また、マイクロプレートの足場材料の探索と表面処理法も確立され、作製した3次元細胞組織内で細胞が高い生存率を示したことから、マイクロプレートを用いた3次元細胞組織作製法の基盤を築くことができたと考えている。さらに、マイクロプレートを用いることで細胞同士の接着面解析デバイスを作製するなど、基礎生物学的な解析にも応用可能であることが明らかになった。 今年度に関しても異種細胞からなる立体構造の作製、折り畳みの駆動源の開発、マイクロプレートの除去というそれぞれの年度目標をおおむね達成した。なお、折り畳みの駆動源の開発においては、パーマロイと磁場を利用することに成功した。この手法は、即座に細胞を異なる角度から観察することができるため、立体構造作製だけでなく、寄生虫の細胞侵入方法の解析といった病理的側面の応用も可能であることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、パターニングされたマイクロプレートを用いた細胞の形状および極性の制御などにも着手する。 さらに、マイクロプレートの材料として、パリレン以外に、A03班の大和グループが開発している温度応答性ポリマーや セルロースといった生分解性のある材料を候補とし、より効率的な細胞組織作製方法を検討する。
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