研究領域 | 超高速バイオアセンブラ |
研究課題/領域番号 |
23106009
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
大和 雅之 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40267117)
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研究分担者 |
秋山 義勝 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20349640)
小林 純 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20385404)
中山 正道 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (00338980)
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キーワード | 温度応答性高分子 / 組織工学 / フォトリソグラフィー / 共培養 / 細胞シート工学 |
研究概要 |
組織・臓器に近い機能を細胞から人工的に再構築する再生医療が世界的に注目されている。高い細胞密度の組織を再構築する上で、細胞シート工学は大変有効な手法であるが、心筋や腎臓、肝臓等の組織・器官は、異なる機能をもつ細胞が、パターン状に配列して形成されているので、高度な細胞組織の再構成のためには、生体組織構造を模倣した多種類の細胞から成るマイクロメートル規模での組織化技術が必要不可欠である。本研究では細胞シートから成るマイクロパターン化細胞シート、重層化細胞組織およびAO2班が開発する組織構築技術を用いて作製された肝臓等の複雑化組織の機能評価をおこない、複数種の細胞からなる組織が示す高度な機能発現の分子機構を解明する。たとえば肝臓は、きわめて複雑な生合成系を発現する肝実質細胞が90%を占めるが、その機能維持には共存する様々な非実質細胞が重要な役割を担っている。肝実質細胞単独の培養では長期維持が困難であり、上述の生体分子の生合成能はきわめて低い。評価は、培養系では次世代シーケンサーなどの新規技術を活用し機能分子等の遺伝子発現を定量的に評価する他、共焦点レーザー走査顕微鏡やライブイメージング装置を用いた免疫組織学的検討により、再構築した組織の生体組織との類似性や機能発現を定量的に評価する。さらに、免疫不全マウスないしラットへの移植により、生体内での再構成組織の成熟化、ホスト血管系との接続等を経時的に観察すると共に、再構成組織の機能発現を定量的に評価する。これらの検討から、複数種の細胞からなり、細胞集団が協調して高度な機能を発現するメカニズムを明らかにする細胞社会学とでも呼ぶべき新学問を創成する。現在、マイクロパターン化細胞シート作製の要素技術として、マイクロコンタクトプリンティングの自動化システムやそれを用いた細胞接着分子の表面パターン化手法、マルクレス露光装置を利用したパターン化温度応答性細胞培養表面の開発に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はパターン化の温度応答性細胞培養表面を新たに開発するとともに、マイクロコンタクトプリンティング法の精密な力学制御環境下で細胞外マトリックスを再現性良く、プリントすることにも成功している。これらの基礎技術をもとに複雑組織の構築を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
作製したパターン化表面を構成する高分子種を増やしながら、より多くの細胞種が培養可能な表面設計よその最適化を引き続き行う。また、本表面をもとに肝臓を構成する細胞種を用いて、肝構成細胞(肝実質および非肝実質細胞)のそれその培養条件の最適化を検討しながら、2種類以上の細胞種からなる共培養系の作製を目指す。
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