研究領域 | 超高速バイオアセンブラ |
研究課題/領域番号 |
23106009
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
大和 雅之 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40267117)
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研究分担者 |
中山 正道 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (00338980)
高橋 宏信 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00710039)
秋山 義勝 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20349640)
小林 純 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20385404)
長瀬 健一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10439838)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 温度応答性高分子 / 組織工学 / 肝組織様構造 / 細胞シート工学 / 微細加工 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、作製した肝細胞シートの生理機能発現の分子機構と、A01班岡嶋グループと共同で、肝細胞/非実質細胞マイクロパターン共培養における肝細胞の生理機能とヤング率など細胞の力学的特性の相関性の解明を行った。これまでの研究成果として、ヘパリン機能化温度応答性培養表面上にアフィニティー結合でヘパリン結合性上皮細胞増殖因子様増殖因子(HB-EGF)を表面に導入したのち、ラット初代肝細胞シートの培養を行うと、HB-EGF培地添加に比べてアルブミン産生能が約2倍となる。このメカニズムを解明すべく、細胞内シグナル伝達をウェスタンブロッティング法により定量化した。EGF受容体を過剰発現しているヒトA431細胞を用いたところ、固定化HB-EGF量の増加とともに、EGF受容体およびMAPKの活性化が増加した。また、固定化HB-EGFあるいは可溶化HB-EGFの効果を比較すると、培養初期において一部の固定化HB-EGFがヘパリン表面から脱離するものの、可溶化HB-EGFと比較してダウンレギュレーションが抑えられることが示唆された。また、肝細胞だけを培養した際、播種後24時間の肝細胞のヤング率は数百Pa程度であったが、培養6日後では10,000Pa程度まで増加した。肝細胞/非実質細胞マイクロパターン共培養のヤング率は、共培養する非実質細胞種によってヤング率変化の傾向が異なった。ウシ血管内皮細胞と共培養した場合、肝細胞のヤング率は数千Pa程度であったが、マウス線維芽細胞の場合、培養2日目において10,000Paに近いヤング率であった。今後、共培養細胞腫による力学的特性の違いと、肝生理的機能の関連についてより詳細に検討する。さらに、A02班竹内グループらとともに中耳粘膜の組織再生を支援するための鼻腔粘膜上皮細胞シートの移植デバイスの開発を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光開始反応等の手法を用いたパターン化温度応答性細胞培養表面の開発やその共培養系への応用に着手しはじめた。また、ロボティクス技術を用いた精密なマイクロコンタクトプリンティング法も新たに開発し、今後の細胞積層化技術との融合により厚い組織作製や共培養系での厚い組織構築などに向けた研究を実施する予定である。温度応答性細胞培養表目の開発においても、ヘパリンのアフィニティーケミストリを応用した成長因子固定化型温度応答性培養皿を開発し、HGF等の成長因子を温度応答性細胞培養表面に固定化し、従来の温度応答性細胞培養表面と比べ、肝実質細胞の効率的なシート化を実証した。その他、他班との連携研究も開始し、研究目標の達成に向け、計画的に研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究領域で培われた種々の技術を統合し、肝小葉類似構造を有する肝組織構築のための技術の集大成を目指す。具体的には以下の研究を実施する。1) 生体組織を模倣したマイクロパターン(uP)化細胞シート作製による肝臓様組織構築と評価、2) 3次元生体組織様構造体作製のための積層化手法の応用、3) 3次元組織様構造体のin vitro、in vivo評価:in vitro評価を中心に研究を推進する。また、昨年度に作製した細胞シート灌流培養のためのマイクロ流体チップを用いて、3次元肝細胞組織の生理学的評価を行い、in vitroでの組織・臓器評価システム構築を目指す。この評価システムを利用することで、細胞シートに流体力学的負荷を与え、その応答や分泌物質の動的評価により生体環境に類似した環境での細胞シートの評価が可能になり、より生体に近いin vitro細胞組織作製の実現が期待できる。in vivo評価では、A02関G]が作製した肝細胞等から成る組織体をラット等の動物に移植、評価する。(4)班間連携によるバイオアセンブラ的な新学術創成:昨年度より開始した鼻腔粘膜上皮細胞シート移植デバイスに関するA02班竹内Gとの共同開発を引き続き行う。
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