計画研究
平成26年度は、人工合成ミネラルの結晶成長に天然高分子成分が共存する場合の結晶の性状が与える生体の硬組織再生に及ぼす影響を検討した.また,水和ゲルマトリクス材料にミネラル結晶と骨芽細胞を分散して骨芽細胞分化に適する材料科学的条件を検討した.また,平成23年度から継続していたミネラル結晶と細胞との相互作用を解析する培養デバイス(pH検出)に他のセンサーを組み込み,ミネラル結晶周囲の環境を測定できる定量的な解析デバイスの多機能化を設計・試作した.また,三次元細胞塊への酸素供給が可能な培養デバイスを用いて,硬組織関連細胞のうち骨芽細胞塊の活性を測定し,評価を行った.1) 人工合成ミネラル(OCP)を天然高分子(Gelatin)が共存する状態で析出させ結晶の性状が及ぼす影響として骨再生能を検討した.OCP/Gelatinの複合体から結晶を抽出してGelatinに再分散することにより作製したOCP/Gelatinはラット頭蓋冠の骨欠損を修復するだけでなく骨質の良い骨が再生されることが定性的ながらわかった.2) A02版と連携して,人工合成ミネラル(OCP)と骨芽細胞をアルギン酸に分散して吐出し,ゲルビースを作製した.骨芽細胞の分化が促進できることを確認した.3) A01班と連携して,合成ミネラルと細胞の相互作用解析デバイスの高機能化を検討し, pHに加えCa濃度を測定できるようにした.4) 酸素透過性の培養デバイスを用い,骨芽細胞の分化が定量的に促進できことがわかった.
2: おおむね順調に進展している
平成26年度は人工合成ミネラルの結晶性状と骨再生の影響について検討し,結晶成長が骨マトリクスの性質に影響を及ぼす可能性を示唆する結果を得た.また,細胞と結晶を封入できる水和ゲルが開発でき,分化促進することから細胞供給デバイスとしての応用可能性が開けた.さらに,細胞と結晶の相互作用デバイスの計測パラメーターを増加させ,pHに加えCaセンサーを組み込むことが可能となった.三次元細胞塊作製酸素透過性デバイスの研究では骨芽細胞分化がmRNAレベルで促進されることがわかった.以上から,計画に準じており概ね順調に進展していると評価できた.
人工ミネラル結晶の性状が硬組織再生に影響を及ぼす可能性が示唆されたことから骨質の定量を試みる.また水和ゲルビーズから分化した細胞が実際にゲルの外部へ放出されるかどうか検討する.結晶と細胞の相互作用回解析デバイスにさらに温度センサーを組み込めるか検討する.また,三次元細胞塊作製酸素透過性デバイスによる骨芽細胞塊に人工ミネラル結晶を組み込み,細胞の活性化が高められるか検討する.さらに,細胞塊に班間および公募班との連携で血管内皮細胞を組み込んだ骨単位様三次元体の構築とその構築メカニズムを明らかにしていく.
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