研究領域 | ナノメディシン分子科学 |
研究課題/領域番号 |
23107002
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
樋口 秀男 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90165093)
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研究分担者 |
茅 元司 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00422098)
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キーワード | in vivo / 非侵襲 / マウス / 1分子 |
研究概要 |
これまでのin vivoイメージングでは、腫瘍部を切開して、癌腫瘍表面近くを観察できた。しかしながら、切開をすると出血や免疫細胞の活性化などが起こり、生きたままの姿を観察する事は困難である。そこで、非侵襲で観察できる装置システムの改良と観察法の工夫をおこなった。明るくするため、倍率を下げ、レーザーの集光度を上げた。血量が見えるように、青い光の透過像を得られるようにした。観察法として約200μmの厚さしかない耳をえらび、蛍光を発する毛の脱毛をした。がん細胞をラベルするためにHerceptin-量子ドット複合体を尾静脈注射し、細胞膜に結合した量子ドットの観察に成功した。また、白血球の中でも運動能が高い好中球やマクロファージに結合した多粒子化量子ドットを結合することで、血管中の好中球をより鮮明に量子ドットを観察する事ができた。また、耳に刺激剤を塗りクロファージを誘発したところ、貪食した量子ドットの詰まった小胞の運動を観察する事ができ、小胞の位置を50nm精度で追跡することができた。また、細胞運動を観察でき、仮足が急速に伸びたのち、細胞体が仮足の方法に動き出した。好中球が生体内を動くメカニズムが解ってきた。 マウスの耳殻にがん腫瘍を形成し非侵襲下でがん細胞を観察を試みた。耳殻に乳がん組織を形成する実験モデル(マウス)の開発を試みたところ、耳殻での腫瘍形成に成功した。さらに、このがんモデルマウスを用い、乳がん細胞に特異的に付着するように処理した蛍光量子ドット(QD)と当研究室で開発した共焦点顕微鏡を用い、リアルタイムで、かつ非侵襲下で乳がん細胞膜上のQDを観察することに成功した。本技術はin vivoにおける腫瘍細胞特性を解明と、がん治療のための医療応用としての基盤技術につなげていけるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.非侵襲で観察できる装置システムの改良と観察法の工夫(倍率を下げ、レーザーの集光度を上げた)をした結果、感度が10倍程度上昇したので、次の非侵襲イメージングに進むことができた。 2.約200μmの厚さしかない耳を選んだことは功をそうして、耳殻の何種類かの細胞を見分けることができるようになった。 3.非侵襲で血管内の白血球の運動能を観察でき、当初の目的を達成でした。 4. マウスの耳殻にがん腫瘍の形成をこころみ、いくつかの例で成功をした。 以上のように、非侵襲イメージングに向けた研究が着々と進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1.非侵襲イメージングを発展するために、マウス内好中球やがん細胞の観察を継続して行う。 2.高蛍光強度量子ドットの合成 細胞内の分子を高時間高空間精度で位置を検出するためには、現在の量子ド ットよりも明るい蛍光粒子を必要とする.特に本課題の培養細胞の研究の目標の1ms,1nm精度を達成するためには,市販の量子ドットの20倍以上明るくする必要がある.そこで,昨年、背景光の低くできる長波長かつ高蛍光の量子ドットQD650またはQD705(直径約5nm)を多数を合成高分子ゲルに閉じ込めることを行った.しかし、 QD650は量子ドット表面が高分子ゲルに適さなかったが、Evidot(波長~550nm)ではうまくいった、そこで、本年度はEvidotの波長物を多粒子化する。完成したなら、顕微鏡にて、中に入った数を確かめ、表面にビオチンあるいはNH2、COOHを修飾を行う。
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