ミオシン分子の機能がどのように拡張され,効率的な力発生を実現しているのかを明らかにすることを目的として,ミオシンフィラメントに相互作用するアクチンの端にビーズを結合させて光ピンセットでトラップし,ミオシンフィラメントの発生する力を計測した.さらにシミュレーションモデルを構築し実験データとの比較から,外部負荷に対する各ミオシン分子の力発生状態を調べた結果,高負荷・高ATP濃度においてミオシンの力発生のタイミングが同調する可能性が示唆された.協調性を直接検証するためにミオシン分子に金ナノ粒子を標識し,その散乱像を高速度カメラで計測する方法を開発し,ミオシン分子の動態を直接計測した.ミオシンがアクチンと相互作用しながら平均15 nm程度移動する様子を1分子レベルで初めて捉えることに成功した. 非侵襲in vivoイメージングの時間分解能を従来よりもあげることに成功した。実験では,細胞質内のチューブリンにGFP、核に蛍光強度が高いRFP(Red Fluorescent Protein: HcRed1)が発現するよう2重に蛍光ラベルしたヒト乳がん細胞を作出し、免疫不全マウスの耳介内に接種後、非侵襲においてin vivoイメージングを行い、単一細胞のGFP蛍光およびRFP蛍光を0.01秒の露光時間で撮影することに成功した。その際、がん細胞の接種箇所を極力、皮膚の直下とし、血流が遮断されない程度の圧力でマウス耳介を顕微鏡ステージに水平に圧着するなど、皮膚表面からの深さを浅くするよう工夫を施した。これらのことにより、従来よりも露光時間が短く、かつ鮮明な像を撮影することに成功した。
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