計画研究
疾病を分子反応の統合として理解・応用するための技術系の構築には、細胞を反応場とした分子反応の一義的理解と普遍的考察が欠かせない。特に細胞内における分子反応を理解・考察するためには、細胞内での高分子物理環境を明らかにし、その環境下での分子反応を研究することが必要となる。H27年度は以下の研究を行った。1.細胞表層力学特性の分類: 接着細胞は接着状態と浮遊状態で異なる力学特性を示す。いくつかの種類の細胞の力学特性をAFMを用いて検討した結果、接着細胞を主に3つの種類に区分することが可能であることを見出した。1つ目は、接着状態で大きくアクチン繊維が発達している線維芽細胞様細胞。2つ目は、細胞内部のアクチン繊維は大きく発達していないが、表層付近では比較的アクチン繊維が観察される癌様細胞。3つ目は、細胞内部・表層付近でほとんどアクチン繊維の発達が見られないHEK様細胞。これら細胞の力学特性の挙動は接着状態と浮遊状態で異なっており、細胞内部と表層付近でのアクチン繊維の発達の違いの影響と考えられる。2.エクソソームによる細胞の石灰化: 骨形成細胞は細胞外空間中に石灰化を形成させる細胞である。骨形成細胞の石灰化は基質小胞と呼ばれる分泌性の小胞が起点となって生じる。基質小胞は石灰化細胞の分泌するエクソソームと同様のものではないかと考え、骨形成細胞および通常の細胞からエクソソームを抽出し、エクソソームが基質小胞のように石灰化に寄与しうるか検討を行った。抽出したエクソソームの石灰化形成能を検討したところ、石灰化形成の起点になることを確認することができた。3.深層学習を用いた細胞分化識別:細胞の状態を非侵襲、自動的かつ高速に判断する手法として、深層学習を用いた手法を考案した。マウス骨格筋芽細胞の分化による形態変化を学習し、およそ90%を超える識別率で分化前後の細胞を識別させることに成功した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 11件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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http://miyake.bpe.es.osaka-u.ac.jp/ban_da_ji_chu_gong_san_zhai_yan_jiu_shi/Home.html