研究領域 | ナノメディシン分子科学 |
研究課題/領域番号 |
23107007
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
丸山 厚 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40190566)
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研究分担者 |
狩野 有宏 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (30403950)
嶋田 直彦 九州大学, 先導物質化学研究所, 学術研究員 (10423972)
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キーワード | 遺伝子解析 / 細胞内デリバリー / DNA鎖交換 / くし型共重合体 / 両親媒性ペプチド |
研究概要 |
本課題では、細胞内において、DNAおよびRNAのイメージングを可能とする核酸ナノセンシング法の構築とそれによる細胞機能発現の解明と制御を目的とする。遺伝子の変異や発現状態の解析は、細胞の機能発現、疾病の病態・要因解明に有用である。さらに、昨今では、マイクロ(mi)RNAなど短い核酸断片が重要な細胞機能を担うことが見いだされている。細胞内で空間的および時間的に高い分解能でこれらの核酸イメージングする手法が求められている。これには、1)核酸プローブの塩基配列選択性の向上、2)核酸検出感度の向上および3)プローブ核酸を細胞内に効率よく送達する手法が求められる。我々は、核酸のハイブリッド形成を分子科学的に考察し、ハイブリッド形成を格段に迅速・安定化する核酸シャペロン機能を持った高分子材料の構築並びに、核酸の配列を一塩基レベルまで厳密に識別可能な核酸プローブの開発を行ってきた。また、細胞内送達には細胞膜破壊/融合活性を持つペプチドが有用であるが、シャペロン高分子材料によりその効率を効果的に向上できることを見いだしてきた。本研究では、これらの知見を集約しさらに班内外の共同研究を通じて、生体に優しくかつ高い時空間分解能で細胞内イメージングを可能とする核酸ナノセンシング法とそれによる細胞機能調節法の基盤を構築する。 本年度は、細胞内デリバリーを念頭に、エンドソーム内のpH変化(pH7.4→5.0)に応答する塩基性基を有するポリカチオンの設計を行った。特に、アミノ酸のα-アミノ基が低いpKaを有することに着目し、新しいエンドソームpH応答性高分子の合成とその細胞内送達キャリアとしての評価を行った。その結果、細胞内に導入する上で適したpH応答性をα-アミノ酸のα-アミノ基が有すると示唆された。α-アミノ酸をビルディングブロックとして利用した生体適合性の高いキャリア設計が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体成分であるアミノ酸をビルディングブロックとして、細胞内移行性の高分子キャリアを設計できることが分かった。種々のアミノ酸修飾高分子を比較することでエンドソームブレークアウトに適したpH応答性を絞り込むことも出来た。既にこの成果の論文での公表が決まっている。
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今後の研究の推進方策 |
プラスミドDNAを利用しリポーター遺伝子の発現活性を指標にアミノ酸修飾高分子の送達を活性を検討したが、実際に核酸プローブの細胞内送達を今後検討する。核酸プローブは、プラスミドDNAに比較し、低分子で有り、細胞内への移行性が高いと期待される一方、高分子キャリアとの結合性の低下による送達活性の低下も懸念される。アミノ酸種や高分子側の分子量依存性なども検討することで、核酸プローブを送達可能なキャリア構造を導き出す。一方、核酸プローブの設計を推進する。
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