研究領域 | ナノメディシン分子科学 |
研究課題/領域番号 |
23107007
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
丸山 厚 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (40190566)
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研究分担者 |
嶋田 直彦 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (10423972)
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研究期間 (年度) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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キーワード | カチオン性くし型共重合体 / デオキシリボザイム / ターンオーバー / ハイブリダイゼーション / 核酸検出 / 高分子電解質複合体 |
研究概要 |
DNAzymeは、酵素活性を発現する核酸配列である。タンパク質酵素あるいはRNA酵素(RIbozyme)に比べ、安定性が高い、調製が容易、様々な修飾が可能などの特徴がある。1994年にBreakerらにより見出された後、様々な活性を有するDNAzymeがスクリーニングされている。中でもリボヌクレアーゼ活性を有するDNAzymeに関する研究が進められ、RNAの不活性化、二価カチオンや核酸配列の検出などへの応用が検討されている。しかし、DNAzyme活性のさらなる強化がこれらの応用に必要と考えられる。 DNAzyme反応において、低温では生成物がDNAzymeより解離する過程が遅く、またそれが早くなる高温では、基質がEと結合しES複合体を形成する過程が遅くなる。つまり、ターンオーバー効率に制約が生じる。したがって、核酸ハイブリッドの解離と形成を早くする、たとえば核酸シャペロン活性がDNAzyme反応の促進には必要と考えられた。既に、カチオン性くし型共重合体、PLL-g-Dex、が核酸ハイブリッド形成速度を高めハイブリッドを効果的に安定化することを見出している。そこで、DNAzyme反応におけるターンオーバー過程をPLL-g-Dexで加速できると推測した。 シングルターンオーバー(ST)およびマルチプルターンオーバー(MT)条件で、PLL-g-Dexの効果を比較した。ST条件では、PLL-g-Dexの有無による反応の違いは見られない。一方、MT条件では、PLL-g-Dex 存在下で顕著に反応が早くなっていることがわかった。共重合体がターンオーバー過程を促進し、DNAzyme活性を高めることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞レベルでの遺伝子検出にはシグナルの増幅が不可欠である。DNAzymeを利用することで、シグナル増幅を内包した検出システムの実現が期待されてきたが、ターンオーバー効率の低さがその妨げになっていた。今回、カチオン性共重合体を離礁することでDNAzyme反応のターンオーバー効率を高められる事が見出された。その場検出への展開が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
カチオン性共重合体によるDNAzyme活性化に関して、以下の研究項目をさらに検討する。 1)DNAzyme反応の温度依存性の解析による共重合体の活性化メカニズムの考察 2)他のカチオン性化合物によるDNAzyme反応の活性化 3)核酸検出への応用が期待されているマルチコンポーネントDNAzymeへのカチオン性共重合体の応用
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