研究領域 | 超低速ミュオン顕微鏡が拓く物質・生命・素粒子科学のフロンティア |
研究課題/領域番号 |
23108005
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
岩崎 雅彦 独立行政法人理化学研究所, 岩崎先端中間子研究室, 主任研究員 (60183745)
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研究分担者 |
斎藤 徳人 独立行政法人理化学研究所, 光グリーンテクノロジー特別研究ユニット, 基幹研究所研究員 (90333327)
河村 成肇 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究機関講師 (60311338)
三部 勉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80536938)
中嶋 隆 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (50281639)
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キーワード | 超低速ミュオン / 超低速ミュオン顕微鏡 / ライマンαレーザー / 2光子共鳴4波混合 / ファイバー増幅器 / 全固体式増幅器 |
研究概要 |
「超低速ミュオン顕微鏡」を実現するためには、超低速ミュオン源を、従来よりも、高輝度化、低温化、高時間分解能化、高偏極化させる技術が必要である。そのうち、本年度は、新規レーザーシステムの研究開発、ミュオニウム再偏極に関する研究、および低温ミュオニウム生成標的の開発を推進した。 レーザーシステムは、212.556nm光源、820.65nm光源、およびライマンαシフターによって構成する。212.556および820.65nm光源は、ともに出力パルスエネルギーが50mJ級で、これら2つの光パルスを、Krを非線形光学媒質としたライマンαシフターに入射し、2光子共鳴4波混合過程においてミュオニウムライマンα共鳴線(122.09nm)を得る。212.556nm光源は、外部共振器型半導体レーザー、ファイバー増幅器、全固体式増幅器、非線形周波数シフターによって構成する。212.556nm光は、外部共振器型半導体レーザーより出力された1062.78nm光を、各増幅器で増幅した後、非線形周波数シフターを用いて第5高調波に変換して得られる。また、820.65nm光源として、半導体レーザーから出力される820.65nm光をシード光とした光パラメトリック増幅器を考案した。以上の設計に基づき、212.556nm光源を実現するための、外部共振器型半導体レーザー-ファイバー増幅器系、再生増幅器、中級エネルギー増幅器、高エネルギー増幅器、並びに820.65nm光源が完成した。 ミュオニウム再偏極に関しては製作中のナノ秒レーザーをベースにした場合の評価を行い、ピコ秒レーザーとの効率の比較を行った。 また低温ミュオニウム生成標的の開発に関して、4つの異なった密度のエアロジェル標的から放出されるミュオニウの時空発展および絶対量の測定をTRIUMF研究所において行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
212.556nm光源には、特殊なイオン添加濃度比で、かつ最大級の大きさのレーザー結晶が必要とされる。この結晶の育成を取り扱いメーカーに依頼したが、大きな結晶を高品質で作成することが、初の試みであったため、結晶完成までに遅延が生じた。他の装置は、この結晶を用いたレーザーの出力特性に基づいて、設計しなければならない箇所があった。そのため、当該結晶を用いたレーザー出力特性を取得するより先行して、他の装置の開発を当初計画どおりに進めることが難しく、研究にやや遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
入手に遅れが生じたレーザー結晶に関して、レーザー結晶取り扱いメーカー各社に依頼し、テストサンプルを供給してもらい、理化学研究所において、結晶の分光特性、光耐力試験などの評価を行って、評価時間が短縮され、結晶の品質向上を促進した。その結果、高い品質のレーザー結晶を入手できるようになった。レーザーに関しては、その他の装置の開発において、問題が生じておらず、来年度の計画の修正することによって、当初の計画に戻すことが十分に可能であると考えている。
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