研究実績の概要 |
インドールジテルペン生合成酵素の解析:本年度は、パキシリンの生合成に関与するプレニル基転移酵素PaxCとPaxDの機能解析を行った(計画班、及川先生との共同研究)。これまでにScottらにより、パキシリン生産菌Penicillium paxilliに生合成遺伝子クラスターが同定され、paxB, C, G, M, P, and Qによりパキシリンが生成することが明らかにされている。このうち、paxCは、ゲラニルゲラニルインドールの生成に関与すると推定されていたが真の基質をはじめ詳細は未解明であった。そこで組換え酵素を用いて解析した結果、PaxDは、GGDPをindoleとindole-3-glycerol phosphateの両方に転移可能であるが後者がより良い基質であることを明らかにした。また、上記paxQの隣には、機能未知でプレニル転移酵素と相動性を有するpaxDが存在することから、組換え酵素を用いて解析した結果、パキシリンの20と21位にジメチルアリル2リン酸を2分子転移する活性を有することも明らかにした。このプレニル化パキシリンは、生産菌の培養液中にも微量存在したことから最終産物はプレニル化パキシリンであることが分かった。さらに、PaxCとPaxDの酵素学的諸性質を詳細に検討した。
ポリオキシン・フタロシンの生合成マシナリーの同定と再構築:ヌクレオシド系抗生物質であるポリオキシンやメナキノン新規生合成経路中間体であるフタロシンが持つヌクレオシドの5’位の炭素―炭素結合生成メカニズムの解明を目的に解析を行った。ポリオキシン生合成遺伝子は染色体上でクラスターを成していることが解っていることから、個々の遺伝子を組み合わせてポリオキシン非生産性のStreptomyces lividansに導入し、特異的な化合物が生産されるか検討している。
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