研究領域 | 生合成マシナリー:生物活性物質構造多様性創出システムの解明と制御 |
研究課題/領域番号 |
23108101
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大利 徹 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70264679)
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研究期間 (年度) |
2011-07-21 – 2015-03-31
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キーワード | 生合成 / インドールジテルペン / 糸状菌 / パキシリン / プレニルトランスフェラーゼ / フタロシン |
研究概要 |
1. インドールジテルペン生合成酵素の解析(計画班、及川先生との共同研究):Aspergillus flavusが生産するaflatrem生合成遺伝子クラスター中に存在するatmDを機能解析した結果、paxillineの20位または21位をリバースにモノプレニル化することが分かった。さらにpaxilline生合成中間体であるpaspalineの21位または22位をレギュラーにモノプレニル化すること、farnesyl indoleの5位または6位をレギュラーにモノプレニル化することも判明し、AtmDは寛容な基質特異性、位置特異性、レギュラー/リバース特異性を有することが分かった。また、糸状菌Phomopsis amygdaliに見出したatmDと相動性を有する遺伝子(amyD)について組換え酵素を用いて機能解析した結果、paxillineの20位と21位をダイプレニル化することが分かった。なおAmyDは本活性を有する酵素としては初めての例である。さらに、AtmDとAmyDについて酵素学的諸性質を詳細に検討した。 2.ポリオキシン・フタロシンの生合成マシナリーの同定と再構築:ヌクレオシド系抗生物質であるポリオキシンやメナキノン新規生合成経路中間体であるフタロシンが持つヌクレオシドの5’位の炭素―炭素結合生成メカニズムの解明を目的に昨年度に続き解析を行った。フタロシンに関しては、Texas A & MのBegley教授との共同研究により、生合成メカニズムの解明に成功した。MqnA酵素がコリスミ酸を芳香化した後、Radical SAM酵素(MqnE)により生じたアデノシルラジカルがフォスフォエノールピルビン酸由来の二重結合に付加することにより生成することが分かった。ポリオキシンに関しては、5’位の炭素―炭素結合に関与すると推定されるpolC, D, K, H)を破壊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インドールジテルペンであるAflatremの生合成に関与するAtmDを詳細に解析した結果、寛容な基質特異性、位置特異性、レギュラー/リバース特性性を持つプレニル転移酵素であることを明らかにした。また、paxillineの20位と21位をダイプレニル化する酵素(AmyD)を初めて見出すなど、順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
インドールジテルペン生合成酵素の解析に関しては、PaxDによりpaxillineの21位と22位がダイプレニル化された化合物(昨年度報告)から生合成されると推定されるlolitremの生合成機構の詳細について検討する。 ヌクレオシドの5’位の炭素―炭素結合生成メカニズムの解明では、ポリオキシン生合成遺伝子破壊株が蓄積する中間体をco-synthesis等の手法で同定した後、関与する酵素の同定を試みる。
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