研究実績の概要 |
1. インドールジテルペン生合成酵素の解析(計画班、及川先生との共同研究);昨年度までに、糸状菌由来の3つのプレニル転移酵素、PaxD、AtmD、AmyDについてpaxillineを基質に用い機能解析した。今年度は、有機合成した非天然型のインドール誘導体139サンプルを及川研から供与を受け、これら酵素の基質となり得るか検討した。その結果、AtmDが最も許容性が高く8つの化合物が基質となり、殆どの基質で複数の生成物が得られた。また、変換率に関してもAtmDが高い活性を示し、最大、40%の値が得られた。
2. ヌクレオシド系抗生物質生合成マシナリーの解明;メナキノン新規生合成経路中間体であるフタロシンが持つヌクレオシドの5’位の炭素―炭素結合生成メカニズムに関しては、昨年度までに解明を終えた。ポリオキシンに関しては、5’位の炭素―炭素結合に関与すると推定されるpolC, D, K, Hの破壊を試みたが破壊株が取得できなかったことから中断した。
3. ペプチドリガーゼ相同遺伝子の機能解析;つい最近筆者は、非タンパク性のアミノ酸のカルボン酸をリン酸化し、次いでリボソームで合成されたペプチドのアミノ基を求核剤に用いてアミドを形成する新規ペプチドリガーゼを見出した。そのオーソログは放線菌など多様な微生物ゲノムに見いだされ、何れも個々に固有な遺伝子とクラスターを成していた。4つについて機能解明のため、Streptomyces lividansを用いて異種宿主発現させた結果、何れにおいても特異的生産物を検出できた。一つを構造解析した結果、amidino-Arg、Leu、Pheからなるトリペプチドと判明したが、後者2つのアミノ酸がペプチド結合では無く、カルボニルメチレンで結合した構造を有していた。現在、その生合成機構の解明を試みている。
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