計画研究
濃度変調と構造変調が同期した新奇な長周期積層(LPSO)構造(シンクロ型LPSO構造)を示すMg合金Mg-TM-RE(Mg-TM-RE; TM=遷移金属,RE=希土類金属)系合金を主として取り上げ,最新の電子顕微鏡法による原子の直接観察と3次元アトムプローブ法,陽電子消滅ドップラー広がり法といった実験手法と第一原理計算の両面からシンクロ型LPSO構造の原子配列解析を行った.Mg-Zn-Y系LPSO相の結晶構造は組成に依存し,高Zn,Y組成ではZn6Y8原子クラスターの面内配列が完全なOD構造をとるのに対し,低Zn,Y組成ではZn6Y8原子クラスターの面内配列が不完全なLPSO構造となる.これらの中間の組成における結晶構造は,OD相と同様の完全な面内規則配列を有するドメインと,ドメイン間の境界領域の組み合わせからなるincommensurateな変調構造として記述できることがわかった.さらにシンクロ型LPSO相の超高分解能STEM観察とCBED法の組み合わせにより,TM6RE8原子クラスター中の格子間サイトが構成元素のいずれかにより占有されていることを明らかにした.高分解能STEMによる結晶構造,欠陥構造解析では,シンクロ型LPSO相の底面すべりのa転位がTM6RE8原子クラスターを切断しない原子層間を運動していることを明らかにするとともに,Mg-Co-Y系やMg-Zn-Yb系合金中で新たに発見されたLPSO構造と類似の結晶構造を有する関連化合物相の詳細な結晶構造モデルの構築に成功した.シンクロ型LPSO相の3次元アトムプローブ(3D-AP)法による局所組成解析では,さまざまな条件で作製された試料についてTEM/STEM像と3D-APデータの同一領域からの取得に成功し,TEM/STEM単独では解析が困難な局所組成に関する様々な知見を得た.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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