研究概要 |
本計画研究では、LPSO構造生成条件,反応経路・または不安定化過程という問題に対し,第一原理計算と状態図計算の計算科学的アプローチによるLPSO構造の安定性評価と,量子線その場実験による構造及び組織の温度変化と熱分析実験を並行して同時に進め,その組織形成の理解にフェーズフィールド計算を援用,相互検証を行いながらLPSO構造を含む組織の安定性と形成機構を明らかにすることを目的としている. 本年度は第一原理計算によるLPSOの安定性の検討については2Hに対して4K,6H,10H,14田,18Rと周期を変化させた場合に安定性の変化を格子振動成分を含めた自由エネルギーの評価によって検討した.格子振動の劫果により18R,14Hが高温において安定化することが示され,特にhcp構造より安定であるという結果を得られた.(第一原理計算担当:飯久保、大谷)また,実験状態図に関しては凝固過程からのLPSO形成の凝固反応を確定するため,より広い組成範囲での凝固組織形成過程の同定と熱分析を進め基盤構築を進めた.特に実験状態図決定に必要かつ実験的に作成困難なY濃度の高い領域で中性子利用のための試料作成も含めた試料作成方法を検討し,実現した(三浦)量子線によるその場測定手法に関しては、本年度は手法開発のフェーズとして,凝固や熱処理の過程が実際進行する多結晶材料に関して効果的な評価手法を検討し、高輝度微小ビームを利用できる放射光SWAXS測定(奥田)と統計的に十分な結晶粒を含むことのできる中性子その場測定と高エネルギーX線その場測定法を想定して(三浦、奥田)準備を進めた. 放射光小角散乱法による解析では、As CastMg85Zn6Y9合金試料は約0.2秒の露光で18R,10H,14HのLPSO周期に対応する離散的なデバイリングの信号を得、In-situへの移行が可能であることを実証した。
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今後の研究の推進方策 |
量子ビーム関連の実験について,測定解析手法の検討が終わった放射光実験では本格的なその場実験を開始するフェーズとなる.また,状態図に関してはLPSO相と液相の関係の凝固組織,熱分析からの知見を得これらの知見のフェーズフィールド計算との連携を進める.また,申請時に事前め打ち合わせを進めていたものの,震災のために一旦実験開始が遅れた中性子施設の利用も始動する予定である.第一原理計算から得られたLPSO構造の熱安定性とこれらの実験的手法から得られる熱力学パラメータ,LPSO構造形成シーケンスとの整合性の検証を進める予定である.
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