研究領域 | シンクロ型LPSO構造の材料科学 ―次世代軽量構造材料への革新的展開― |
研究課題/領域番号 |
23109005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥田 浩司 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50214060)
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研究分担者 |
飯久保 智 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 准教授 (40414594)
三浦 誠司 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50199949)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | LPSO / 量子ビームその場測定 / 第一原理状態図計算 / 実験状態図 / PhaseField法 |
研究実績の概要 |
本年度は、放射光でのその場測定では液相が関与する温度域までのその場測定による評価に成功した。昨年度重点的に調べたLPSOの体積率がほぼ1であるMg85Y9Zn6組成のバルク鋳造材に続き、Mg97Y2Zn1~Mg75Y15Zn10の広い組成にわたる鋳造試料を使い、10K/minの速度で等速昇温、降温をおこなった。 また、状態図に関する検証としては実験状態図ならびに計算状態図ともにGdを含む系に対して(MgAlGd,MgZnGd)検討を進めた. 本年度行ったSPrring8での定速昇温ならびに降温過程における小角・高角回折パターンのその場測定の結果、より薄い組成では初晶Mgの回折ピークが認められる一方、LPSOの形成に置いては偏析周期の形成と面内規則構造形成が同時であることが実証された点が重要な結果であると考えられる.現在この知見を元に代表合金系であるMgYZnのLPSOの構造形成の最も核となる変態機構の概念についての検証を進めている.昨年度の導入により本年度から定常的な稼動が可能になった高エネルギー多色その場回折装置における高角検出器についても、基本波による高角ピークの実時間同時評価が可能になっており、鋳造材における温度スキャンによるその場検証実験に有力な手法となっている。LPSOが関与する状態図を明らかにするためにはIn-situ測定と並行して長時間熱処理によって系が到達する相の共存関係を調べる事が重要である.現在実験ならびに計算状態図により、MgGdZnとMgGdAlの3元系の状態図確定と、クラスタ変分法による統計熱力学的な計算への還元を進めた.また、LPSO形成において、通常凝固でLPSOが形成される系とされない系の比較を凝固による液相線の変化という観点から検討を加え、凝固に伴う液相組成の変化にLPSO形成系と非形成系では特徴的な違いがあることが明らかとなってきた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画にあるうち、MgYZnについては組織の安定性、再現性に関して予想外に大きな偏移がおきやすいことなどから、キネティクス、静的測定とも当初より完遂にはやや時間がかかっているが、一方その特性を詳細に解析することにより、当初予想とはことなる相安定性や相転移キネティクスを示唆する新たな知見が得られつつあり、領域内の別研究班や領域外研究者との共同研究開始など、当初の計画にはなかった新たな展開となりつつある。これらを勘案するとほぼ順調に、一部は予想以上の展開を示しつつあると考える。
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今後の研究の推進方策 |
上述のようにほぼ計画に沿った研究の遂行によって順調に成果が上がっており、おおむね中間評価時に提出した研究計画に沿って進めることで所期の成果は確実に達成されると考えている。なお、新たな展開となっている部分については最終年度内では収まらないと予想される展開であるが、まずは現在進めている領域内および公募研究との連携による推進を図る。
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